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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.11 2014年の勇者たち(6)仙波憲人

2015.10.04

2014年の勇者たち(6)仙波憲人 ナンバーカード9 DNF、7日間20時間13分富士見峠(※初出場)

取材・文=松田珠子

 日本三名山のひとつ、霊峰・白山のふもと、福井県坂井市在住の仙波憲人。ガッチリとした体格で、職業・消防士と聞けば、根っからの体育会系なのかと思いきや、本人いわく「もともと、ほぼ文科系」なのだそうだ。中学ではブラスバンド部に所属、高校ではサッカー部だったが「試合に出た記憶もあまりない」と仙波。本やアニメ、プラモデルが好きな、どちらかというとインドア派でいわゆる「オタク系」だという。高校時代に消防士の兄弟を描いた映画『バックドラフトを見て「これしかない!」と、消防士を志した。

 ちなみにブラスバンドは現在も続けている。「消防音楽隊に所属していて、マーチング演奏にも出演しています。楽器はトランペット、トロンボーン、チューバなど金管楽器全般。メインは、いちばん大きい低い音のチューバ。今でも現役です」。
 初めての登山は、消防士になるための半年間にわたる消防学校での登山訓練にて。地元の白山に登ったのが、「生まれて初めての登山」だった。今から15年前、19歳のときのことだ。
「学校の仲間と登ったことの思い出が強くて、山の記憶はあまりないです」
 それ以来、しばらく山に登る機会はなかった。


開会式にて。ビブスナンバー9が仙波(写真=杉村 航)

 

 消防士として、地元・福井県の嶺北消防組合に勤務。管轄内には国の名勝・東尋坊がある。天然記念物に指定される景勝地だが、自殺の名所としても知られる。水難救助隊に配属され、8年以上は海を現場に仕事をしていた。しかしプライベートではほとんど海に行くことはなかった。「現場にしていたぶん、距離を置きたいのかもしれない」(仙波)
 消防士という職業柄、体を鍛える必要がある。ジムでのウェイトトレーニングはライフワークのひとつだった。「競技としてではなく、ボディメイキング。ジムでひとり没頭するのが好きで、ずっとそれを続けていました。おかげで筋肉がつきすぎて、山に行くには少し重くなりすぎてしまったのかも」

 仙波が山に行くようになったのは、新田次郎の『孤高の人』を読んだのがきっかけだった。今から5~6年前だ。初めての登山から10年がたっていた。
「小説じゃなくて漫画のほうですけど、おもしろくて、山に登ってみようかなと思いました。単純な動機ですね(笑)。影響を受けやすいのだと思います」
 職場の後輩を誘い、地元の丈競山(たけくらべやま)に登った。
「標高1000mもないくらいの里山ですけど、すごく楽しくて達成感があった。もう少し高いところ、2000m、3000mの山にも行ってみたいなと感じました」
 そして休日ごとに、山に足が向くようになった。
「ハーハー息を切らしながら、何も考えず山を登ることに没頭できる。そういう作業が昔から好きだったので、純粋に楽しいと思いました。単独で、なるべく人がいないところに行きました。装備もいろいろ試したり、考えたり…
 山行が楽しくなり、もっといろいろな山に行きたい、との思いが強くなった。仕事は24時間の交代制で、朝9時に終わるとそこから24時間休み、というサイクルだ。
「仕事が終わってから山に向かうと、スタートの時間が遅くなってしまう。早出早着が登山の原則。そうなると、2週間に一度の休みくらいにしか行けない。どうしたらもっと山に行けるかなと考えたときに、速く登って、速く下りればいいんだ、と単純に考えました」
 そんなとき、現在仙波が所属するチーム「MH.TRC」(Mt. Hakusan Trail Running Club)の代表である源康憲さんのHPを見つけた。「日帰り登山」を主なスタイルとする源さんは、日々の練習や山行をHPにアップしていた。
「源くんは、白山を片道70分くらいで登っていた。2時間で登れば往復でも4時間で行ける。自分もやってみようとチャレンジしたら、コースタイム4時間のところを、2時間くらいで山頂まで行けたんですね。こうやって行動スピードを上げれば、少ない時間でも山を楽しめるんだと思いました」
 仙波にとって、山をより楽しむためのスタイルの方向性が見えてきた。

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