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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.12 2014年の勇者たち(7)雨宮浩樹

2015.10.28

2014年の勇者たち(7)雨宮浩樹 ナンバーカード13 7日間23時間6分 12位(※初出場)

取材・文=松田珠子

 日本最北の地、北海道宗谷地方――。年間の平均気温は5℃、冬の寒いときには-25℃にもなるという。TJAR2014に初出場、初完走を果たした雨宮浩樹は、そんな気象条件の厳しい場所に住んで5年になる。

 出身は埼玉県。中学時代はバドミントン部、高校はボート部に所属していた。ボート競技は、ローイング、漕艇ともよばれ、座席を前後に動かし、オールを使って腕力と脚力で水上で船を進ませる競技だ。
「高校のボートは距離が1000m、時間にすると3~4分間全力で全身運動をするような種目。フォームも非常に大事なので、今思うと、体力とランニングや歩行フォームに対する考え方の基礎になった気がします」(雨宮)。
 高校を卒業後、北海道大学に進学。大学では地質の研究に打ち込んだ(現在も地質の研究職に従事)。山を始めたのは大学2年の頃だ。
「研究のため、山で3週間くらい生活することもあって、それが楽しくて。山が趣味にもなっていきました。北海道なので、(登山ができる)時期は限られている。冬は山スキーを始めて、かなり頻繁に行っていました。以前は札幌に住んでいたので、札幌近郊はだいたい行きました。ただ札幌近郊の山は低くて物足りないので、今は大雪山系の山によく行きますね」


TJAR2014での一場面。雨の登山道を進む(写真=宮上晃一)
 

 

 TJARの存在を知ったのは、2008年大会からだ。「山の雑誌で見て、凄いなぁと」。憧れを抱いたものの、自分にはとても手が届かない「別世界、別次元のレース」だと思っていた。
 その後、「TJARよりは現実的」と、ハセツネ(日本山岳耐久レース)をめざし、2010年に走り始めた。初めてのランニングのレースは6月の千歳マラソン(フル)だ。

「仲間たちと飲んでいるときに、酔った勢いでフルマラソンに出ようという話になって。そこで完走できたらハセツネにエントリーしようか、と言っていたけど、それではハセツネのクリック合戦に間に合わない。だから、フルを完走する前に(まだ何のレースにも出たことがない状態で)ハセツネにエントリーしました(笑)。エントリーしたら、腹をくくるしかない。練習するしかない、と(笑)」

 ハセツネには、仲間たちと3人で出場した。
「仮眠をしまくって、21時間かかった(笑)。でもそのとき、70kmは走れるんだなと」
 翌年の2011年にはサロマ湖100kmに出場し、「関門ギリギリで」完走。走ることが楽しくなり、距離を延ばしていった。

 そして2012年、第1回「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」が開催された。
「国内初の100マイルレースで出たかったけど、抽選で落ちて。そうしたらラン仲間が完走したんです。悔しくて、すぐにその年の八ヶ岳山麓スーパートレイル100マイルにエントリーしました(笑)」
 11月開催の八ヶ岳山麓スーパートレイルは完走率27%という厳しさとなったが、雨宮は23時間23分01秒で16位という好成績でゴール。
「事前にいろいろ調べて、これは山の上は(気温が)マイナスだなと。装備もしっかり準備して。それまで、トレイルのレースでは真ん中くらいの順位が多かったんです。でも八ヶ岳で16位に入ったのがすごく自信になった」

 それまで、TJARに対して憧れはあったが、自分には手が届かない。山ヤの自分は、山中泊やビバークへの不安はない。ただ、TJARに挑戦するには走力が足りない――そう思っていた。
「自分に足りないと思っていた走力がついているな、と。それで、次は(TJARに)チャレンジしたい、と。2013年はTJARの参加要件を満たして、2014年の夏はもう全部予定をあけました」
 TJARに向けた日々が始まった。

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