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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.13 2014年の勇者たち(8)西田由香里

2015.12.16

2014年の勇者たち(8)西田由香里 ナンバーカード19 7日間22時間12分 11位(※初出場)

取材・文=松田珠子

 悪天候が続いたTJAR2014で3名が出場した女子選手のうち、唯一完走を果たした西田由香里。社会人になってからスノーボード、スキー、MTB、トレイルラン……と、山を舞台にしたスポーツに競技志向で取り組んできた。アスリート、主婦、母親、薬剤師、山の情報を発信するネットTV『Mt-channel』(通称『やまちゃん』)のリポーター……。何足ものわらじを履くスーパーウーマンだ。


富山県魚津市・ミラージュランドでの開会式。笑顔で挨拶する西田 (写真=杉村 航)

 

 西田が生まれ育ったのは、山に囲まれた長野県松本市。小・中学時代はバスケットボールに熱中。「負けず嫌いな」スポーツ少女だった。高校時代は陸上部で走り高跳び、400mハードルに取り組んだ。東京の薬科大学時代は、スポーツとは無縁の生活。卒業後、薬剤師としていったんは東京で就職したものの、父の体調不良をきっかけに実家の松本に戻った。地元のドラッグストアに勤める傍ら、友人の影響でスノーボードにのめりこみ、競技会に出場するまでに。そうしたなかで、山岳会に所属する“山ヤ”でもあり、山岳スキーやクライミング、マウンテンバイク(MTB)などオールラウンドに山を楽しんでいるご主人と出会い、西田の活動の幅はさらに広がった。
 冬はテレマークスキー、夏はMTB。MTBではアマチュア選手が対象の「スポーツクラス」で優勝も経験した。
「エンデューロ(出場していたのはチームのリレー形式のレース)が楽しくてはまりました。スポーツクラスでは優勝もしたけど、(五輪選手も出場する)エリートクラスでは全然ダメでしたね」

 28歳で結婚し、安曇野市に居を構えてからも、MTBライダーとして各地の山に足を運んだ。そして31歳で女の子を出産。
「娘が生まれたので、遠出しなくてもいいスポーツを」とランニングを始めた。トレイルレースに出るようになったのは2008年からだ。
「きっかけは忘れちゃったんですけど、誘われたのかな。初めて出たのが、2008年夏、OSJ志賀野反トレイルレースの15km。当日は雨だったんです。これ、本当にレース開催するの!?というくらいのどしゃぶりで……。でも、楽しかった(笑)。完走してみたら3位で、自分に向いているかも、と。基礎体力はMTBで鍛えられたかな。当時、娘は2歳。雨のなか、母が抱っこしてくれていました」
 その後、めきめきと力をつけたのは、トレーニングの賜物だろう。
「娘が小さい頃は、主に朝、娘と主人が寝ているうちに、走ったり山に行ったりしていました」
 安曇野の自宅からも見える常念岳、蝶ヶ岳の登山口までは車で30分ほど。驚くべきは、この標高3000m近い山々を、まだ夜の明ける前から登り、往復して朝食前に帰ってくるということだ。
「3時にスタートするためには、1時半に起きて、家を2時半に出発します」
 基本は単独行。ヘッドライトをつけて、登山口から登り始める。女性が一人で、真っ暗な山道を行くのは怖くないのだろうか。
「動物は基本的に逃げていくし、何も見えないから、けっこう平気ですよ。慣れなのかな」

 だが、そんな西田も最初から単独行に慣れていたわけではない。出産前のように夫婦で山に行くことが難しくなり、どうしたら山に行けるか考えた末のトレーニングスタイルだ。
「一人で山に行けるようになりたかったから、努力しました」
 長野市にある山岳ショップ「信州トレイルマウンテン(通称:信州トレマン)」のイベントでも鍛えられた。2010年TJARの完走者でもある店長の奥野博士さんは、地元の山を拠点にした地図読みレースやツアーなどを数多く行なっていた。西田は単独行に自信をつけるため、トレマン主催のイベントやツアーに積極的に参加した。
「自宅からはちょっと遠かったんですけど、娘を預けて……。いろいろなツアーに参加したことが自信につながりましたね。トレマン様様です」


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