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7年かけてたどり着いた憧れの舞台へ! ATC Store 芦川雅哉さんの「UTMB 2016 レースレポート」

2016.10.21

文・写真=芦川雅哉

 「45歳までにUTMBに出る」と漠然と思い立ったのは、たしか2009年にNHKで放送された「激走モンブラン」を見たことからだった。まだ、トレイルランの経験が浅かった当時、「7年もあればなんとかたどり着けるんじゃないだろうか」という、本当に漠然とした思いつきだった。
 それから、独立して仕事を始め、いろんなことを経て、45歳となった今年、ついにその思いつきは現実のものとなった。「UTMB 2016」。その舞台に立つ日が来たのだ。
 この7年間、国内で徐々にレース経験を積み、UTMFを完走。海外では、UTMBと同じ期間に行われるCCC(101km)を2013年に完走、TDSを2015年(119km)に完走し、いよいよ本丸のUTMB(170km)に出場することに! …と意気込んで臨んだUTMBなのだが、結論から言うと、約80km地点のクールマイヨールでタイムアウトとなってしまった。DNFとなってしまったレポートが何の役に立つのかよくわからないが、個人的な回想録として記しておこうと思う。

 

 シャモニーは猛烈な暑さ。標高1,000mを越える街なのに、気温は連日35℃前後もあった。先に行われたCCCやTDSは熱中症や脱水で、多くのランナーが苦しんだようだった。
 迎えるUTMBは18時スタート。少しは暑さも和らぎ、やがて日も暮れて涼しくなるはずだ。暑さ・寒さ対策の準備をぬかりなくして、いよいよスタートゲートへ向かう。

 


7年かけて手にしたUTMBのナンバーカード。日本の国旗がついているのが誇らしい気持ちにさせてくれる

 

《START:Chamonix - 21km:Saint-Gervais》
 
世界各地から集まった2000名のトレイルランナーとともにスタート地点に立った。セレモニーが始まり、フランス語なので何をしゃべっているのかまったく聞き取れなかったが、その場の空気が少しずつ変わっていくのがわかった。大声をあげて盛り上がる人、静かに想いを巡らす人、選手はさまざまな心境でスタートを待っていた。

 そして、UTMBのテーマソングである「Conquest of Paradise」が鳴り響き、緊張感と高揚感が一気に高まり、UTMBという舞台に立っているという事実に身体が震えた。その震えがおさまることもないまま、18時となり、長い旅(となるはずだった…)が始まった。

UTMB2016スタート映像 (開始3分くらいから、UTMBのテーマ曲「Conquest of Paradise」が始まる)

 


UTMBのスタート。またこのゲートをくぐり、フィニッシュしたかった

 

 シャモニーの小さな街を、文字通り人々が埋め尽くしていた。あちらこちらから、いろんな言語で歓声が飛び交っていた。「誰に向けるわけでもなく、きっとすべてのランナーに送られているんだ」そう受け取って、その歓声を浴びながら進んでいった。この時の僕は舞い上がっていたに違いない。冷静になってみると恥ずかしいものだが、あの状況では誰もがそうなってしまうのではないだろうか。シャモニーに集まった人たちのホスピタリティーがそうさせる気がする。

 


スタートしてシャモニーの街を抜けていく。沿道にはたくさんの人々が集まり、すべてのランナーにエールが送られる

 

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