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コース短縮によりスピードレースとなった、「2017 ハセツネ30K 」レースレポート

2017.04.06

 写真=一瀬圭介  取材・文=一瀬立子(MtSN)

 2017年の本格的トレイルレースシーズンの幕開けとなる「第9回 ハセツネ30K」が、4月2日、東京都あきる野市で開催された。

 今年は、コースの一部が崩落したこと、また、積雪の影響により、30kmのコースを17kmに短縮して開催。林道部分のコースをカットしたことで、ロードが10km、トレイル7kmという、ロード率が高いコースになってしまった。ハセツネ30Kは、毎年1700人前後の選手が出場する大規模なレースだ。安全面を配慮してのコース短縮は止むを得ない運営側の判断だったといえる。
 

 


前日とは打って変わって、快晴のもと、スタートが切られた

 

 コースが17kmに短縮されたことで、トレイル率が減り、ロード率が高くなってしまった。スタート後のロードランでどこまで順位を上げられるか、それが最終的な結果につながった。選手もそのことがわかっていたので、ロードをギリギリのスピードで攻めていった。

 先行型のレース展開を好む上田瑠偉は最初から先頭を行った。そこにくらいついていったのが、市川創史。市川は上田をターゲットにして走ることを決めていた。レース序盤、上田は市川に話しかける余裕を見せながら、8kmあたりから市川を引き離し、そのまま先頭を死守した。予想通りのスピードレースとなった今レースは、上田が1時間5分台でフィニッシュしたのに続き、数秒差で後続の選手がフィニッシュ地点に駆け込んでくるという展開となった。

 


先頭を行く、市川創史(左)と上田瑠偉(右)

 


先頭を行く上田瑠偉にくらいついていく後続選手たち

 


ミスターハセツネ、奥宮俊祐は体調不良を押して出場。残念ながら上位入賞は逃した

 


女子のトップを行くのは、吉田香織。ロードランナーである吉田には余裕が感じられた

 


2016 ハセツネCUPの女子優勝者である高村貴子は、ロード率が高いコースにも関わらず攻めの走りを見せた

 

 ◆◆◆ 

 

 スタート直後から先頭を行った上田瑠偉優勝を果たした。タイムは1時間5分59秒。レース前に本人が予想していた1時間10分より、4分も速いタイムでのフィニッシュとなった。

 


優勝 上田瑠偉。2014年に続き、ハセツネ30Kで2回目の優勝を果たした

 

 2014年の日本山岳耐久レース(ハセツネCUP)で、最速記録で優勝した上田がハセツネ30Kで優勝しても、順当な結果のように思うだろう。しかし、上田は、UTMB2016のカテゴリーの一つであるCCCで2位という輝かしい結果を出した後、疲労もあり、思うようなレース結果が出せないでいた。さらに、今年2月の沖縄マラソンのあたりから、股関節に違和感を感じ、脚がうまく上がらないという状況に陥り、苦しんできた。体の症状によって、いくつかの治療院に通ったり、クロスカントリースキーをトレーニングに入れるなどして、コンディションの調整を試みてきた。

 スピードを出して走れるようになってきたのは、ハセツネ30Kの2週間前くらいから。ロードで10km走れたのは、ハセツネ30Kの1週間前だった。上田にとってはまだ調整段階の状態で、コースの短縮によりロード率の高いレースで戦わなければならなくなった。上田は優勝は狙っておらず、自分をできるだけ追い込むという気持ちで走ったという。

 「レース中は、思ったより脚が上がった。優勝できてうれしいし、この結果は自信につながります」と上田。優勝した瞬間に見せた笑顔は、上田が苦しみから脱したことを感じさせた。

 今後の上田の出場レースは、4月23日に開催される「KOREA 50K」、7月に開催される、スカイラン二ングユース世界選手権「コマペドローサ・スカイレース」「ドロミテ・スカイレース」、8月に開催されるOCCなどだ。10月のハセツネCUPにも照準を合わせてくることだろう。苦しみを乗り越えた上田がどんな走りをしていくのか。楽しみではあるが、静かに見守っていきたい。

 


優勝を果たし、安堵の表情を見せる上田

 

 男子2位市川創史は、大学を卒業したばかりで、この春から社会人になる若手ランナーだ。大学では陸上競技に打ち込み、今後は市民ランナーとして、マラソンやトレイルランにチャレンジしていくそうだ。

「優勝を狙っていたので、2位は悔しいです。今回が初めてのトレイルレース出場でしたが、自分がどこまで上田選手と戦えるのか試してみたいと思っていました。10月のハセツネCUPまでにトレーニングを積んで、スタミナをつけて、次は上田選手に勝ちたいです」と、市川。控え目な印象の市川だが、会話からは勝ちたい気持ちの強さが伝わってきた。22歳の市川が今後どんな活躍をしていくのか、注目したい。

 


男子2位 市川創史

 

 3位に入ったのは小林誠治。長崎の元実業団ランナーだ。実業団ではマラソンに取り組んでいたが、4年前に引退。3年前からトレイルランを始めた。同郷の川崎雄哉が、2016年のハセツネCUPで優勝したことに刺激を受け、今レースで優勝を狙ってきた。

「川崎雄哉さんに続き、長崎のランナーとして優勝したかったですねえ。今回は思った以上にペースが速く、前の選手に離されてしまいました。ハセツネCUPでは、川崎選手と競い合って、勝ちたいと思ってます!」と小林。九州には、2016年のハセツネCUPで優勝した川崎雄哉の他に、同レースで3位の荒木宏太や、5位の河野健一など、実力のある選手がいる。今年のハセツネCUPの上位3人を九州勢が独占することもあるかもしれない。

 


男​子3位 小林誠治

 


男子4位 三浦雄一

 


男子5位  大瀬和文

 


男子6位 大沢正和

 

 


男子総合上位入賞者

 

 ハセツネ30K、男子総合上位入賞者は以下のとおり。

【男子】
1位 上田瑠偉 1:05:59
2位 市川創史 1:07:41
3位 小林誠治 1:08:07
4位 三浦裕一 1:08:22(右から3人目)
5位 大瀬和文 1:09:04(右から2人目)
6位 大沢正和 1:09:16(右端)

2017 ハセツネ30K(短縮コース)男子リザルト

 

 

 女子上位入賞者については、次ページでレポートする。

 

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