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夢の100マイルは来年へ。「信越五岳トレイルランニングレース 2017 」レースレポート

2017.12.13

文・写真=一瀬立子(MtSN)

9月16日~18日、今年で9回目の開催となる信越五岳トレイルランニングレースが開催された。ついに待望の100マイルコースが設定され、従来の110㎞コースと合わせ、2種目のロングレースが開催されるはずだった。しかし、この時期に開催するレースの難しさとして、台風の問題がある。残念ながら、大型台風が日本列島を通過することがわかり、コースを短縮して開催されることになった。100マイルコースは102㎞に、110㎞コースは52㎞に短縮され、どちらのコースもフィニッシュ地点は黒姫となった。レースプロデューサーの石川弘樹さんや参加者たちが待ち望んでいた「信越五岳で100マイルレースを」という夢は、先延ばしとなってしまったのだ。

しかし、台風が接近しているというのに、会場には多くの選手やペーサー、サポーターたちが集まっていた。会場で選手の声を集めたが、「コース短縮は残念。でも、走らせてくれるだけでありがたい。石川さんをはじめ、スタッフの皆さんに感謝している」という声が多く聞かれた。

 


会場に集まった選手も家族も皆にこやか

 


それぞれのナンバーカードを持ち、テンションが上がる選手たち

 


恒例のウェルカムパーティーでは、環境に対する配慮として信越五岳オリジナルマイカップが配布された

 


100マイル、110㎞ともコースが短縮されたことで、数回にわたり丁寧なコースガイダンスを行なう石川弘樹さん

 

コースの短縮を発表してから、石川弘樹さんをはじめ大会運営スタッフは、フィニッシュ地点の移動、ペーサーのスタートポイントの変更、選手が宿泊場所に入る時間の変更などの様々な変更作業を徹夜で行なったという。

しかし、そんな苦労を感じさせない、アットホームなあたたかい空気が会場を包んでいた。選手やペーサー、サポーターやボランティアスタッフたちが集まり、談笑し、例えるならまるで同窓会会場のような、そんな雰囲気だ。もちろん、選手たちはそれぞれ、レースに対する真剣な思いを持っている。このレースは走り続けなければ完走できない関門設定がされている。決してゆるいレースではない。しかし、そこにはピリピリした空気はない。これは他のトレイルレースではなかなか感じることがない信越五岳独特なものだ。みんなでつくり、みんなで楽しむアメリカンスタイルのロングトレイルレース。それが、石川さんが日本にそのスタイルを持ち込み、9年かけて発展させてきた信越五岳トレイルランニングレースなのだと思う。
来年こそは夢の100マイルレースが開催されることを祈る。

 

では、100マイルコース(短縮102㎞)の男女上位入賞選手のインタビューをお届けする。

男子優勝 サンゲ・シェルパ 記録11:13:37
サンゲは信越五岳の2週間前に開催されたUTMBに出場したが、脚を痛めリタイアしていた。今レースに故障の影響がでるのでは、と思われたが、問題なかったようだ。

インタビューでは以下のことを話していた。

「ペーサーをつけて走ったことがなかったので、信越五岳を楽しみにしていました。初めてペアを組んだ日本人のペーサーが私を励ましてくれたおかげで、レースをエンジョイすることができました。コースはヨーロッパの100マイルレースに比べると、アップダウンが激しくなく、ずっと走り続けないとならないのでキツかった。それから、ボランティアスタッフのホスピタリティが素晴らしくて、気持ちよく走れました。また来年も日本のレースを走りたいです!」


男子優勝のサンゲ・シェルパ(右)。ペーサーと喜びを分かち合う

 


サンゲのサポーターの皆さん。フレンドリーなサンゲの周りにはいつも人々の笑顔がある

 

男子2位 野本哲晃 記録11:16:53
「100マイルを走れないのは残念でしたが、台風が接近しているなかよく開催してくれたと思います。石川さんをはじめ、スタッフの皆さんに感謝したい。10時間台でフィニッシュできると思っていたが、100マイル用に新設されたコースは想像していたより厳しかったですね。来年もまた100マイルコースを走りたいので、レースプランを立て直さなきゃならないなと思います。あっ、それから、コースでね、熊を見ました!  大きい熊が30mくらい先にいたんです。九州で熊を見たことがなかったので、ビックリしましたよ~!」

 


最後に小原将寿をかわし、2位でフィニッシュした野本哲晃

 

男子3位 小原将寿 記録11:20:02
「今年は仕事が忙しくて、100マイルレースは信越五岳しか出られなかったので、優勝を狙ってたんですけど、サンゲは強かったですねえ。野本さんにはラスト2㎞くらいで抜かれて、ついていけませんでした。走れるコースなので休みどころがなくてしんどかった。100マイルの新コースでは、早朝4時なのに地元のおじいちゃん、おばあちゃんが応援してくれてうれしかったです。来年はもっとしっかりトレーニングして、また100マイルコースを走りたいです」

 


「新コース、キツイですねえ~」と石川さんに話す小原将寿

 

 

女子優勝 高島由佳子 記録13:39:52
女子優勝の高島は、1枚のナンバーカードを手に持ち、自分の前に掲げてフィニッシュした。華々しい女子優勝の光景をイメージしていただけに、この時の高島の様子を見て、なにが起こっているのか理解できずとまどった。

 


亡くなった同僚のナンバーカードと一緒にフィニッシュした高島

 

そして、高島はそのナンバーカードの説明をしてくれた。
「このナンバーカードは会社の同僚のもので、彼はレースの1カ月前に交通事故で亡くなってしまいました。一緒に信越五岳に出ることを楽しみにしていたのに、一緒に練習もしたのに。彼はもういなくなってしまったんです。彼の奥様に許可を得て、彼のナンバーカードを持って、一緒に走ることにしました。無事に完走して、彼もフィニッシュまで運ぶことができてホッとしています。彼の奥様にもいい報告ができてうれしいです」

多くの選手がペーサーをつけるなか、高島はペーサーなしで走っていた。しかし、フィニッシュしたとき、彼女にもペーサーがいたことがわかった。亡くなった同僚と一緒に走っていたのだ。「レース中しんどいときも、彼のことを思うとがんばれた」。そう語っていた。

今回、フィニッシュ地点となった黒姫は高島の地元。高島は手としてだけではなく、コース整備にも関わった。高島のご主人も毎年のように出場している。高島にとって信越五岳は特別なレースなのだ。

 

石川さんに優勝インタビューを受け、やっと笑顔を見せた高島。脚にはいくつも傷があり、必死に走ってきたことが伝わってきた
 

 

女子2位 佐川絵美 記録14:19:59
「思ってたよりもキツいコースでした! 102㎞に短縮になりましたけど、十分にキツさを味わえました。自分としてはまあまあの走りができたかなと思います。スタッフや、ペーサー、コース上で応援してくれた友達に感謝したいです。実は、100マイルレースは2015年のUTMF以来でした。100㎞超のレースはまだ2本しか走ったことがないので、今回の信越100マイルは自分としてはチャレンジでした。本当は100マイルコースに出るはずじゃなかったんですけど、エントリー直前に石川さんのFacebookにあった、100マイルレース開催に向けた言葉を見て感動してしまって、思わずエントリーしてしまいました」

 


3回目の100㎞超のレースを上位でフィニッシュし、充実した表情を見せる佐川

 

女子3位 鈴木潤子 記録14:44:44
「信越五岳に出るのは2011年以来です。今年はPTL(290㎞/累積標高差2万6500m)に出場したので、このレースまで2週間しか体を休めることができず、やっぱり疲れが溜まっていました。今回は100マイルコースが102㎞になってしまいましたが、102㎞でよかったです。100マイルだったら完走は厳しかったかもしれない。ペーサーに引っ張ってもらい、なんとかかんばれました。私は今回のコースの一部の草刈りをするボランティアにも参加しました。コースが整備される前の状態を知っていたので、走りながら、コース整備をしてくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいになりました。次は100マイルコースを全部走りきりたいです!」

 

 


PTLの疲れがありながらも3位に入賞する底力を見せた鈴木

 

【100マイルコース・リザルト】

信越五岳トレイルランニングレース2017 100マイル (短縮102㎞)コース 男子リザルト

信越五岳トレイルランニングレース2017 110マイル (短縮102㎞)コース 女子リザルト

 

 

つづいて、110㎞コース(短縮52㎞)の男女優勝者のインタビューをお伝えする。

男子優勝 山田琢也 記録4:23:44
長野県在住の山田はコースを熟知している。山田は当レースで優勝するという目標を設定し、5週間のトレーニングプログラムを組み立ててきた。また、2014年にもペーサーを務めた、気心の知れた大瀬和文を再びペーサーに起用し、万全の態勢でレースに臨んだ。

「110㎞が52㎞に短縮になってしまったことは残念でしたが、全力を出すことに変わりはないです。大瀬がいいペースで引っ張ってくれて、自分がダレそうになると、『ここですよ!』と渇を入れてくれました。補給のタイミングも教えてくれて、チームワーク抜群でしたね。大瀬と走って優勝できて最高の気分です! それに、ホームで活躍できることはなによりうれしい。レース開催の準備をしてくれてきた人たちは自分も日ごろお世話になっている方々です。レース開催のために力を尽くしてくれた皆様に感謝したいです」

 


ふたりで掴み取った優勝の瞬間を喜ぶ

 


ペーサー大瀬とのチームワークのよさを語る山田

 

女子優勝 福島 舞 記録5:31:38
「信越五岳は私の憧れのレースでした。そのレースを大好きな姉にペーサーをしてもらって走りたいと、2年前からずっと思っていました。距離は短縮になってしまったけど、姉と信越五岳を走って優勝できたことが本当にうれしいです! 今回は52㎞でしたけど、かなり疲れました。 次はもっと強くなって、また110㎞を姉と一緒に走りたいです!」

 


ペーサーで姉の福島和可菜さん(写真右)と合流し、うれしそうな福島 舞

 


優勝し、ホッとした笑顔を見せる福島 舞(写真右)

 

 

【110㎞コース・リザルト】

信越五岳トレイルランニングレース2017 110km (短縮52㎞)コース 男子リザルト

信越五岳トレイルランニングレース2017 110km (短縮52㎞)コース 女子リザルト

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