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「TJAR2016 - 鉄人たちの熱い夏」 Ver.14 石田賢生(※4回目の出場)

2018.01.25
「TJAR2016 - 鉄人たちの熱い夏」 Ver.14   石田賢生

ナンバーカード17 4位(5日間14時間49分) ※4回目の出場

取材・文=松田珠子

 

 6日目の14時をまわり、石田賢生がもうすぐゴールするころ、大浜海岸には50人以上の人が集まっていた。  14年大会は、普段から山行を共にすることが多い阪田啓一郎と終盤のロードで合流となり、2人一緒にゴールしたが、今回は単独だった。
 砂浜に続く階段を上り、砂浜に入ると、歩きに切り替えた。応援者たちの歓声のなか、ガッツポーズでフィニッシュ。記録は5日14時間49分。その後、砂浜にザックを下ろすと、波打ち際に向かい、ダッシュで太平洋の水の中に勢いよく飛び込んだ。

「集まっていただいて本当に嬉しいです。ありがとうございます」
 全身が濡れた状態でマイクを向けられ、笑顔で短く語った。




太平洋に勢いよく飛び込む石田(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

<10、12年大会は高山病でリタイア>

 趣味のバイク旅で偶然出会った阪田啓一郎と意気投合したのをきっかけに、富士登山競走に出場。トレイルラン、山にも取り組むようになった石田。(詳しくは14年連載へ)

 阪田に誘われ、初めてTJARに挑戦したのは10年大会(阪田は選考会で落選)。このときは、血痰が混じる咳が出るなど重篤な高山病の一種である高地肺水腫で南アルプス・仙丈小屋でリタイアした。下山後、受診した病院から総合病院に救急搬送され、そのまま緊急入院となる深刻な状態だった。医師からは、高山病になりやすい体質であることを告げられ、「このスポーツは向いていないから止めたほうがいい」とまで言われたが、石田は入院中から次のTJAR(12年大会)のことを考えていた。

 経験やトレーニングを積んで挑んだ12年大会、南アルプスの荒川岳を過ぎて再び血痰が混じる咳が出た。石田は一度、下山して休養をとってからレース再開することも考えるが、NHKの取材カメラも入るなかで、無理は許されない状況だった。苦渋の決断だったが、再びリタイアを決めた。

 14年に向けては、高山病対策に重点を置いた。三浦雄一郎氏が代表を務めるミウラドルフィンズで、低酸素室での「高所テスト」を受け、アドバイスに沿って、呼吸筋を鍛えるトレーニングを取り入れた。具体的には、ストローに綿棒を入れて吹いたり、『パワーブリーズ』(空気を吸う際に負荷がかかる、呼吸筋のトレーニング器具)を毎日くわえることを日課とした。

 14年大会は、初日に台風が直撃。風速40mを超える暴風雨のなか、北アルプス・薬師岳からの稜線を進んだ。途中、高山病の予兆が見えるとペースを落とすなどして対応し、6日間16時間で悲願の完走。最後のロードで“相棒”の阪田啓一郎に追いつき、2人でゴールする姿は、応援者たちの興奮と感動を呼んだ。

 

“3度目の正直”で初完走を果たした石田だが、14年大会は台風の影響で剱岳を回避するコースに短縮されたこともあり「フルのコースで完走していない」との思いがあった。すぐに意識は、4度目のTJAR――16年大会へと向いた。

 16年までの2年間、重点を置いたのはやはり「高山病対策」だ。呼吸筋を鍛えるトレーニングは欠かさなかった。そして16年の夏山シーズンに入ると、何度も高地へ足を運んだ。
「6月末からほぼ毎週、標高2000m以上の山に行きましたね。レース前はできるだけ上(標高の高い場所)で寝るようにして、高地にいる時間を長くするようにしました。アルプスに行けない週末は、比較的行きやすい富士山に行って、山頂まで登って、お鉢を回って下りてきたり……」

 参加要件を満たして書類選考を通過し、選考会のスタッフをすれば14年大会の完走者は選考会を免除された。16年大会も、阪田とともに出場するつもりでいた。しかし、阪田が書類選考でまさかの落選。
「10年(阪田は落選)に続いて2回目なので『また、やらかしたか』と……(苦笑)」
 本戦出場が叶わなかった阪田は、TJAR本戦から1日ずらした日程で、単独で親不知からの日本アルプス縦断チャレンジを計画。
「こっちはこっちで、頑張らなければいけないなと。お互いに頑張ろう、と」
 エールを送り合った。

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