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【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.3 TDSでトップ10入りをめざして(前編)

2018.01.10

ウルトラトレイルを得意とするトレイルランナー大瀬和文さん。数々の海外レースに出場している大瀬さんはこう語る。「海外レースでは、自分と戦いながら、他の選手とトレイルをシェアしている感じなんです。だから、レース中に追い抜かすときは、必ず“GOOD LUCK!”って言います」と。“GOOD LUCK!”には、一緒にトレイルを走る人達への敬意と、国籍に関わらず、一緒にトレイルランを楽しもうという、大瀬さんのオープンマインドが表われている。

そんな大瀬さんの連載第3弾は、2017年のメインレースのひとつに設定したTDS」(119 / D+7300m)の参戦記。TDSでトップ10入りをめざした大瀬さんのレポートをお届けします。

 


 

写真・文=大瀬和文

世界中のトレイルランナーがこの大会を目標に取り組んで来ているといっても過言ではない、まさにトレイルランの世界選手権とも呼べるレース、UTMB(注)。私は2014年から3年連続でUTMBに出場している。

※(注)「UTMB」とは、フランス・イタリア・スイスの3か国に渡るコースで開催される、世界で最も人気があるトレイルレースの総称で、現在は距離の違う5つのレースカテゴリーがある。5つのレースカテゴリーは、PTL(約300km)、UTMB(約170km)、TDS(約120km)、CCC(約100km)、OCC(約60km)。このうち最も注目を集めるのが100マイルレースの「UTMB」である。大瀬さんが2014年から2016年まで3年連続出場した「UTMB」とは、100マイルレースのことです。

 

■UTMBへの憧れ

UTMBでカッコよく走るトップ選手たちの姿や景色の素晴らしさ、そして、参加者それぞれが自らの限界に挑む姿をYouTubeで見て、「なんて素敵なスポーツなんだ!」と思い、UTMBに憧れを抱くようになった。走る場所をロードから山に変えるだけで、こんなにカッコよくて、楽しそうで、ドラマティックになる。さらに、自分の限界に挑むこともできることに感銘を受けた。

はじめはUTMBの映像を見て憧れていただけだったが、いつしか自分がそこにいることを想像し、「自分ならこうするだろう。自分ならこうしたい」と、UTMBの出場はいつしか現実味を帯びていった。

そして、UTMBにエントリーし、なんと当選! 2014年のことだった。この年は正直自分がUTMBを走るなんて思いもよらなかった。なぜなら、2014年は私がトレイルランを始めてまだ2年目で、なんとかポイントを貯めて、ダメ元でエントリーしたからだ。初めてのエントリーでUTMBに当たったとき、「これはもう運命だ!」と思った。しかし、当時はまだ100マイルレースを走った経験がなく、私にはそれがどんなものか想像がつかなかった。

 

初めての100マイルレース、UTMFに出場

初めてのUTMBに出場する前に、私にとって初めての100マイルレース、「UTMF」を走ることになった。2014年のことだ。これは、UTMBを前にした自分にとって必要な試練だった。

UTMFは、自分が今まで映像で見てきた憧れの選手たちが国内外から出場していた。私はその選手たちと走れることに興奮した。しかし、自分なりに100マイルレースを戦う戦略を立てたものの、思ったようにはいかず、途中で体力を使い果たし、ボロボロの状態でフィニッシュ地点をめざした。結果は男子19位だった。

 

■4年目のUTMBへ

UTMFの経験を生かし、2014年に初めて出場したUTMBでは、計画通りにレースを進めることができ、UTMB 総合23位という結果だった。

15年からはさらなる高みをめざした。UTMBの表彰台に登るべく、TOP10入りを目標にした。しかし、結果は92位。16年、三度目の正直と思い挑んだUTMBでは、途中まではいいペースで走れたが、後半に体調を崩し、30時間以上かけてフィニッシュすることになってしまった。結果は108位。なぜか14年に初めてUTMBを走ったときのようにうまく走れなかった。しかも、15年、16年とも、同じような所で体調を崩していた。私はこの結果に不甲斐ない思いを抱えていた。

 

■2017年はTDSでTOP10入りをめざす!

2017年は敢えてUTMBには出場せず、TDS(119km / D+7300m)という別のカテゴリーへの参戦を決意した。14年から3年連続でUTMBに出場してきたので、気分転換したいような気持ちもあった。また、他のレースカテゴリーに出場することで、一度全てをリセットして、2018年に再びUTMBに挑みたいというのは本音だった。しかし、TDSはコース難易度はUTMBよりも厳しい設定であり、距離は119kmと、100マイルよりは短いが、登りのすべてを足した累積標高差は7300mとかなりキツいコースだ。出場するカテゴリーを変えたからといって、楽なレースになるわけではなかった。 

 


TDSのコースマップ

TDSの高低差表

 

TDSでしっかり結果を出せたら、18年以降のUTMBのチャレンジに弾みがつくと思い、16年の終わりからトレーニングを重ねてきた。自分が100マイルレースを戦う上で足りないものを分析し、それを他の海外レースで実践した。トレーニング、反省、レースでの実践を繰り返し、徐々に結果が出せるようになってきた。TDSはもちろんだが、今回UTMBを走ったとしても、結果が出せるくらいの自信を持って、UTMBのメイン会場があるフランス・シャモニーに入った。

 


UTMBに出場する丹羽 薫さんとフィニッシュゲート前で記念撮影

 

慣れ親しんだシャモニーの街は相変わらずの雰囲気で、とても居心地がよかった。今年はTDSに出場するため、例年より2日早く現地入りした。毎年、UTMBよりTDSのほうが先にレースが開催されるからだ。いつもより早く現地入りしたため、UTMBという大きなトレイルレースが始まる前の準備段階を見ることができ、新鮮だった。同時に、これから始まるUTMBに胸を躍らせた。

 


UTMBのゲートを設営中
 
 

世界中からシャモニーに集まってきた人たちと交流するもUTMBの楽しみのひとつ

 

受付は今年で4回目。さすがに慣れたものだ。14年に初めて出場した時に比べると、受付会場の案内は当時より丁寧にされていて、わかりやすくなっていた。日本語対応スタッフもいた。受付では、必携装備品のチェックと、トップ選手はドーピングの有無を確認するためにメディカルチェックを受ける場合もある。ナンバーカードを無事に受け取り、あとはスタート待つのみ。それまで街中をぶらぶらしたり、ホテルにあるプールで泳いだりして、リラックスするように努めた。

 

4年連続のUTMBの受付は慣れたものだ

 

レースは翌朝6時にスタートする。前日は21時過ぎにベットに横になり、翌日のレースに備えた。


すべての装備を整えて、あとはレース本番を待つだけ

 

 

大瀬さんのTDS参戦記は、【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.4 TDSでトップ10入りをめざして(中編)に続く。

 

大瀬和文【おおせ・かずふみ】
(写真=山田慎一郎)

中学で陸上を始め、箱根駅伝をめざして東海大学へ。社会人になってから、2013年、雑誌の企画をきっかけにトレイルランを始める。現在はSALOMONアスリートとして、国内外のトレイルレースに出場し、上位入賞を果たしている。

 

【2017年主な戦績】
「Trans Lantau 」50K 優勝(香港)
「The 9 Dragons Ultra」 50マイル 3位 (香港)
「Penyagolosa Trails」 115K 8位(スペイン)
「ULTRA TRAIL AUSTRALIA」 100K 9位(オーストラリア)

 

【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.1 

【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.2

【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.4 TDSでトップ10入りをめざして中編)

 

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