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「TJAR2016 - 鉄人たちの熱い夏」 Ver.19 仙波憲人 ※出場2回目

2018.07.02

TJAR2016 - 鉄人たちの熱い夏」 Ver.19 仙波憲 ナンバーカード11  19位(7日間10時間39分) ※2回目の出場

取材・文=松田珠子

 

 8日目の10時半、前方に松の木々が見え、大浜海岸が近いことがわかった。
「今、足が折れたとしても、ここからなら這ってでもゴールできる……」
 2度目の挑戦の舞台。仙波憲人は、そこで初めて「完走」を確信した。同時に、体の奥から感情が抑えきれず、信号で立ち止まったタイミングでしばらく泣いた。
 前回大会、たどり着けなかった大浜海岸に、足を踏み入れると、ゴールのフラッグまでは「頭が真っ白になった」。
 家族、所属するMH.TRC(Mt Hakusan. Trail Running Club)の仲間たち、大会関係者、そして先にゴールした選手たち……多くの人に囲まれてのフィニッシュ。
 一足先にゴールしていた、14、16年大会とも道中一緒になることが多かった米田英昭とガッチリと握手をかわすと、男泣き。仙波は照れ隠しのように、米田のTシャツで涙を拭こうとし、笑いを誘った。2人の絆を感じさせるシーンだった。

 


ゴール後、待ち構えていた米田(写真右)から「遅かったじゃねーか!」と声をかけられ、
米田のTシャツで涙をぬぐうふりをする仙波。このときは2人とも泣いていた(写真=宮崎英樹/MtSN)

 

 

<14年は、最終関門を越えてリタイア>

 初出場の14年大会は、最終関門の井川オートキャンプ場を越えながら、富士見峠でリタイアという結果だった。スタートから7日20時間13分。最後は、足の裏の激痛に加え、両脚は膝が曲げられないほどパンパンに腫れ、1時間で100mも進めなくなっていた。

 NHKで放映された12年大会を偶然見たことがきっかけで、14年大会をめざし、時間、費用、労力を費やしてきた。生半可な覚悟で挑戦できる舞台ではない、と、前回が「最初で最後の挑戦」と決めていたが、一番の理解者である妻の後押しもあり、気持ちは動いた。翌15年4月、14年大会に出場して以来交友が深い雨宮浩樹と魚津市のミラージュランドを訪れ、TJARの石碑に触れ、16年大会への再挑戦を決意した。

 16年に向けて、山はもちろんのこと、特に強化したのはロードでのランだ。仙波は次のように話す。
「アルプス間のつなぎのロードをしっかり走れるかどうかが完走のポイントになると思ったので、特にロードは力を入れました。夏の暑い時期も、あえて昼から14時くらいの暑い時間帯に、TJARと同じ装備を持って、20㎞以上走ったりしましたね」

 トレーニングにおいて意識していたことがある。それは途中で止まらないこと。例えば、トレーニング中に足が痛くなったとしても、2時間なら2時間と決めた時間は走り通した。
「悪い状態のなかでもベストが尽くせるようにと、いつも考えていました。レース中もいつも100%の体調でいけるわけではない。足が攣ったからやめる、寝不足で熱中症っぽいからやめる、というのではなく、その状態でどうするか、と。普段からそれを考えながらトレーニングしていれば、何かアクシデントが起きても対応できるようになりますから」
 そうはいっても、例えば足が痛くなった場合、走り続けられないこともあるのではないだろうか。仙波は言う。
「痛いなかも、どうやって走り続けられるかを考えます。地面への足のつき方を変えてみるとか、この走り方ならいけそうだな、とか……。ペースを落とすのも一つの方法。とにかく、止まらないでなんとかすることを考える。足に痛みが出ても、こういうものだ、と考えれば意外といけますね」

 初出場の14年大会は、悪天候にも振り回されたが、準備や計画においても反省点が多いという。
「常に悪天候に対応しながら、(体力の?)ギリギリまで行動して消耗して……という感じだった。食事を含めて、メリハリがないまま行動してしまいましたね」
 行動計画も立ててはいたが「漠然としていた」と仙波は振り返る。「正直、行き当たりばったりなところが多かった。それじゃまずいと、16年の前は、ロードの自販機の場所などもチェックしました」

 やれるだけの準備をして、選考会へ。選考会は悪天候に見舞われ、14年に一緒に出場した選手や、一緒に出場をめざしていた仲間の中には落選した者もいた。仙波は、合格。抽選はなく、2度目の本戦出場が決まった。

 

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