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望月将悟、“山の原点に戻って” 日本アルプスを縦断。「食料も全部背負う」 ~TJAR2018~

2018.08.12

 日本海から太平洋へ、日本アルプスを縦断する2年に一度の山岳アドベンチャーレース「トランスジャパンアルプスレース(TJAR)」の2018年大会が、8月12日0時に富山湾をスタートした。

 30名の選手たちは、北・中央・南アルプスを縦断し、駿河湾に至るまでの約415㎞(累積標高差2万7000m)の行程を、自分自身の足のみで8日以内での踏破をめざす。

 現在、TJARを4連覇中で、16年大会では4日23時間52分という大会記録を打ち立てた望月将悟が、5度目のTJARに挑む。

 5連覇や、さらなる新記録を期待する声も出るなか、望月は今大会、これまで誰もやることのなかった「山の原点に戻ったチャレンジ」を掲げた。

 TJAR直前に望月にインタビューし、今大会に臨む心境を語ってもらった。

 

 

「できるかわからない。でもそれがチャレンジ」

 

――もうすぐ2年に一度のTJARが始まります。望月選手にとって5度目のTJARになりますが、今回のテーマは?
望月: 今回、自分の物は全部自分で背負って行こうと思っています。TJARのルールは、途中の山小屋や自販機で買い物してもいいことになっていますが、食料もすべて背負って、お金を使わずに行きたい。ただ、水については、山小屋で湧水を引っ張っているところでも協力金というかたちで有料のところもある。なので、そこは自分の中ではよし(利用可)としようかなと。水以外の装備・補給食は全部背負って静岡まで行くというチャレンジをしたい。今までが総重量5、6㎏だとすると、15㎏くらいにはなるかなと。今年から必須装備として火器を持っていくことになっているので、何か、お湯を入れて調理できるようなものも持っていきたいと思っています。これまでのTJARで、優勝したり新記録を作ったり、いろいろやってきましたが、今回は速さというところではなく、自分と向き合いたい。自分の限界値を、違う側面から知りたい。できるかできないか、わからない。でも、それがチャレンジだと思っています。

 

――そのチャレンジを決めた経緯は?
望月:
  TJARではもう何回も優勝して、5日切りの新記録も作った。記録を出した16年はずっと天候がよく、記録を出すのには好条件だった。次にTJARに出るとしたら、何か新しいテーマを持ちたい。どうしようかなと思っていたときに、登山家の花谷泰広さんに会う機会がありました。そのとき花谷さんが、途中の補給をせずに全部自分で背負って行ってはどうか、と提案してくれたんです。『俺たちは、高い山に行くときや長期の縦走に行くときは、途中で補給はできない。全部持っていくよ』と。その話を聞いて、それが山の原点なんだな、やってみたい、と思ったんです。そのチャレンジをしたいから、TJARにもう一度出る、と決めました。ただ、事前に「こういうことをやります」とあまり言いたくなかった。自分のチャレンジなので、スタートしてから、応援してくれる人たちから「そういうチャレンジをしているんだな」と、知ってもらえればと思っています。

 

――18年のTJARは、原点に戻りたい、というお話もされていましたね。
望月: 僕は2010年からTJARに出ていますけど、その頃からはルールも大きく変わってきている。必携品もいろいろ増えてきている中で、自分で判断して、これを持っていれば自分は大丈夫、と見極めることも大事。自分がTJARから学んだことでもありますし、TJARはそれを学ぶべき場所でもあるのかなとも思うんです。今は便利な世の中で、いろいろなものが手に入る。僕らは持つものや食べるものを選べる時代に生まれて、贅沢だなと。昔の人はそんなことはできないから、あるものを食べるし、使うしかない。原点に戻って、そういうチャレンジをしてみたいと思いました。今回、途中で冷たいものも飲めないし、考えれば考えるほど不安にもなります。でもその不安も、また新たな自分が見られるのかなという楽しみにつなげたいですね。

 

――ペースはどのくらいを想定されているのですか?
望月:
  想定では、7日くらいで行きたいと思っています。やってみないとわからないですけどね。少なくとも、今までのように「剱岳にトップで登る」ということはないと思います。時間いっぱい使うかもしれないし、どのくらいでいけるのか、そもそも完走できるのか……。でも完走したい。TJARの制限時間いっぱい使ってでも、もがきたいと思います。

 

――これまでにないチャレンジを通して、TJARファンや山に入る人たちへ伝えたいことはありますか。
望月:
 最近、登山者とトレイルランナーの関係、マナーの話がいろいろなところで出ますよね。少なからず、自分のところにも『もっと(トレイルランナーに)啓発してほしい』というメッセージが来る。
山を登るなら、お互い、気持ちよく登りたいじゃないですか。トレイルランナーはトレイルランナーなりに、必要な物を持って登る人もいる。でも今は、ウェアも装備も、軽量でコンパクトでよいものが出ている。そういう物を登山者も知った方がいいし、逆にトレイルランナーは登山者の気持ちを知ったほうがいい。自分は今回、登山者の気持ちが理解できるように、自分の物は自分で持っていく。安全・安心なスタイルで登りたい。そして、これだけ荷物を持っても、(日本アルプスを)越えて来ることができるよ、と示せたらいいなと。
僕は昔から言っていますけど、トレイルランも登山の手段の一つだと思っています。登山者もトレイルランナーも、お互いに気持ち良く山の頂をめざせたらいいなと。登山者とトレイルランナーの距離が縮まるような、山という自然の中で相互に思いやれ、助け合えるよう、その一つのきっかけになればいいなと思っています。

取材・文=松田珠子
写真=山田慎一郎(2016年9月撮影)

 

 

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