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ポイントがなくても、夢のUTMBが味わえる! 新カテゴリーMCC(40㎞)レースレポ

2018.12.17

写真・文=一瀬立子(MtSN)

憧れのUTMBの舞台へ

2018年で16回目の開催を迎えたUTMB。最も人気があるのはUTMB(170㎞)ですが、レース種目は年々増え、2018年は6つのレースカテゴリーに、世界中から集まった約1万人もの選手が出場しました。

出場者数、トップ選手の出場数、スタッフの数、メディアの数、すべてにおいて世界一の規模を誇る、世界で最もメジャーなトレイルレース。それがUTMBです。

 


レース期間中、フランスのChamonix(シャモニー)の街はUTMB一色に染まる

シャモニーはアウトドアリゾートの街なので、アウトドアショップが多くあり、買い物に出かけずにはいられない

 

UTMBは、トレイルランナーなら一度は出場してみたいと思う憧れの舞台。

でも、UTMBは各カテゴリーに出場するために出場資格レースを完走し、ポイントを保有していないとなりません。これがなかなかハードな基準。さらに、やっとポイントをゲットして、エントリーしても、当選しないこともよくあります。世界中からエントリー者が集まる人気レースなので、出場するまでがすでに一つの大きな壁になっているのです。

UTMBに憧れを持っているけど、なかなか出られない。そんなトレイルランナーに朗報です! 2018年にMCCという40㎞(累積標高差2300m)のレースカテゴリーが新設されました。

 


シャモニーの街からの美しい景色にうっとり

 

■MCCってどんなレース?

MCCは、2018年に新設されたレースカテゴリー。40㎞(累積標高差2300m)、スイスのMartiny(マルティニー)という小さな街からスタートし、フランスのChamonix(シャモニー)でフィニッシュするというコースです。現地のボランティアスタッフやUTMBに貢献している人たちのために作られたレースです。

私は、世界中の魅力的なトレイルレースのツアーを組んでいる“フィールズ・オン・アース“のツアーを利用して、MCCに出場するチャンスをもらいました! 

フィールズ・オン・アースはUTMBのオフィシャルツアーを組んでいる旅行会社です。なんとMCCに関しては、フィールズ・オン・アースのツアーで申し込めば、抽選なしで出場できるんです! しかも、エントリーをするためのポイントがなくても大丈夫なのです! 他のレースカテゴリーは、ツアーで申し込んでも当選率は上がるようですが、基本的には抽選になります。もちろんポイントも必要です。

MCCは、フィールズ・オン・アースのツアーで申し込めば出場できるので、「UTMBのレースの雰囲気を味わってみたい」、「UTMBのコースを走ってみたい」という方には、おススメですのレースです。

 

■フィールズオンアースのツアーのいいところ  

フィールズ・オン・アースのツアーで参加すると、いいことがいろいろあります!

  • 航空券や宿泊の手配だけでなく、エントリーのお手伝いもしてくれる
  • 現地での送迎をすべてスタッフがしてくれる
  • 宿泊先はスタート地点がある街まで近く、静かで快適
  • レース前は観光に連れて行ってもらえる
  • レースの受付が優先的に受けられる
  • UTMBを熟知した日本人トップ選手が、コースガイダンスや、レース前にコースの試走会をしてくれる
  • レース当日は、スタート地点近くのカフェでスタートまでゆったりと暖かく過ごせる
  • レース中にエイドステーションでサポートしてもらえる
  • レース後の打ち上げパーティーでは、トップ選手や他のツアー参加者と交流できて、仲間ができる

 

ツアーの参加料は、一見すると高いように思いますが、細やかなサービスが受けられるので、ツアー代金以上の満足感が得られます。慣れない海外レースで、手続きや移動手段を一人ですべて手配するには、外国語が堪能である必要があります。さらに、UTMBは規模が大きいレースなので、レースに出場するまでにも、レース会場でも、何かと手続きに手間がかかります。それを丁寧に日本語でサポートしてもらえるのは、安心感があり、ストレスもなく快適でした。さらに、現地でもスタッフがいろいろと丁寧にサポートしてくれるので、外国語ができなくても全く問題ありません。安心してレースに集中できるためか、ツアー参加者の完走率は高いそうです。私も実際にツアーでレースに参加してみて、この快適さがレースの完走につながることがよくわかりました。
せっかく海外レースにチャレンジするなら、できるだけ完走したいですよね!

2019年のツアーの詳細は、下記リンクからご覧いただけます↓

 


 


ここからは、私が出場したMCCの体験レポートです。レース前日の様子から。

ホテルは、ツアーを利用してMCCに出場する他の女性選手と相部屋でした。広くて、キッチン付きのホテルは快適。バルコニーからの眺めも最高! 朝食もおいしかった!

 


MCCに参加するツアーの仲間。ホテルのバルコニーからの景色にテンションが上がって写真撮影


ツアーで宿泊したホテルSAVOYの朝食バイキング

毎朝焼きたてのパンを届けてもらっているので、パンがとってもおいしい!

 

■レース前日の過ごし方

レース前日の午前は、観光に連れていってもらった。日本語ペラペラのフランス人スタッフ・ロマンにアテンドしてもらったので、迷うことなくラクラク。

シャモニーから車で10分ほどの場所にモンタベール駅があり、そこから真っ赤な登山列車に乗って、終点のメール・ド・グラス(氷の海)に到着。ここはヨーロッパ最大級の氷河。温暖化によりここ20年で急激に氷河が溶けてきているとのことで、いまのうちに見ておきたい貴重な観光スポットだった。


真っ赤なかわいい登山列車を見て、女子たちのテンションが一気にアップ!

どんな絶景が待っているのか、みんなワクワク!

標高約2000mまで登山列車で登っていくと、景色がどんどん変わっていく

終点の展望台からは40k㎡に広がるメール・ド・グラス氷河を望むことができる

 

観光をした後は、現地入りした大瀬和文選手とスタッフのロマンにアテンドしてもらい、MCCの受付へ。受付会場はホテルから近い場所にあるのでよかった。さらに、ツアー参加者の特典として、受付の列に並ばずに優先的に受付をしてもらえることに感激! UTMB はどのカテゴリーも参加者がとても多いので、受付の列で長時間待つことが珍しくないが、ツアーだとそのストレスがない。さらに、UTMBに慣れている大瀬選手やロマンがいろいろ教えてくれるので、必携品のチェックの時も心強かった。

 


TDSに出場するため現地入りした大瀬和文選手と合流して、みんないい笑顔

 


ついに来た! UTMBのゲートに感激!

受付前に大瀬選手と一緒にランチタイム。おススメのレストランをスタッフのロマンが教えてくれた

受付会場に到着。ツアー参加者は優先的に受付をしてもらえるので、VIP気分

UTMBの必携品チェックは厳しい。大瀬選手がアドバイスをしてくれるのが心強い

​必携品は人によってチェックされるものが違うので、とにかく完璧に用意していこう

みんなが腕につけている緑のリボンがMCCの受付完了の証。明日はがんばろうね!

 

受付後は各自街で必要な買い物を済ませて、夕方からはオーガナイザーがホテルに来て、コースガイダンスをしてくれた。試走をしていなくても、がんばりどころやペース配分の目安を教えてもらえるので、安心してレースのイメージをすることができた。


準備完了。絶対完走する

 

■レース当日の素敵なサービス

レース当日は、朝6時頃にスタート地点のスイスのMartiny(マルティニー) まで、スタッフのロマンが車で連れて行ってくれた。こういった移動ひとつひとつに悩まなくてもいいのは、本当に楽だった。

車で1時間ほどで、マルティニーに到着。スタート時間は午前10時なので、ツアーで予約をしてくれていた、スタート会場の隣のカフェでゆっくり朝食をとった。スタート時間まで暖かいカフェでリラックスして待てるなんて、なんて優雅! このサービスはたまらなかった!

 


眼下に広がるのが、MCCのスタート地点、スイスのマルティニーの街

​スタート時間までカフェでリラックスタイム。夏でも朝は気温が低いから、ここにいられてよかった

 

■いよいよレースがスタート!

スタート時間が近づき、ゲートにはMCCに出場する選手たちが集まってきた。ビックリしたのは、仮装をしている選手たちが結構いたこと。たしかに40㎞なら仮装していても楽しめる距離だけど、それにしても凝ったコスチュームの人たちがいて、見ている私もそのお祭りムードにボルテージが上がっていった。MCCの参加者のほとんどが地元のボランティアスタッフ。みんなUTMBという一大イベントがはじまる前の前夜祭的な感じでワクワクしているのが伝わってきた。

 


スペインの選手と記念撮影

地元の民族衣装をきたチーム。かわいくて目が釘付け!

フランスのバニーちゃん。ちゃんとお尻にウサギの尻尾がついています

妖精コスチュームでも、ちゃんとザック背負ってますね(笑)

日本語ペラペラのフランス人、ロマンさん。好きな歌手はX JAPAN

 

お祭りムードとは言っても、UTMBのレースの一つ。いままでに何度もYouTubeで見てきた、MCのアナウンスがはじまり、レースオーガナイザーのカトリーヌ・ボレッティさんが選手を励ます声が聞こえてきて、さらにはUTMBのテーマ曲『Conquest of Paradise』が流れると、心が震え、思わず涙ぐんでしまった。距離が短いとはいえ、UTMBのレースに自分が出場できる日が来るなんて思いもしなかった。ずっと仕事で忙しかったから、トレーニングはレース前1ヵ月間しかできなかったし、ほとんど山にも行けなかった。それでも、どうしても完走したかった。

レースに出る感動と緊張に包まれながら、スタートした。

 


MCCの選手1000人がスイスのマルティニーからスタート! 最高の時間を楽しもう!

 

 

MCCのコースは、スタートから8㎞までに一気に標高1000mアップ、さらにその後の17㎞地点まで700mアップ。後半は下り基調なので、前半にいかに休まず淡々と動き続けるかが鍵だった。


MCCの高低差表

 

スタートして、心拍が上がり過ぎないペースでポールを使って淡々と登っていった。トレイルに入るまでは、マルティニーの街の子供たちがコース上のいたるところで「アーレ!アーレ!(がんばれ! がんばれ!)」と熱烈な声援を送ってくれて、とてもうれしかった。「かわいいなあ!」と思いながらも、この先の登りを考えると写真を撮っている余裕がなく、残念だった。普段なら、写真や動画を撮りまくるのに、自分が選手だと余裕なんかないのだ。トレイルの入り口では、ちょっとした渋滞があって、「UTMBでも渋滞があるんだな。制限時間ギリギリなんだから、早く進んでほしいな」と思っていた。

 


スタート地点のマルティニーの子どもたち。選手をヒーローのように讃えてくれる

街のいたるところで子どもたちが元気な声援を送ってくれて、うれしくてたまらない!

トレイル​の入り口では渋滞が発生。10分足らずで解消された

 

ほどなくして渋滞は解消され、淡々と登っていると、意外とあっさり第一関門の8㎞地点に着いた。
「あれ、練習不足だけど、私イケるかも!!」と、うれしくなった。

エイドでは、サクっと補給をすませ、とにかく17㎞地点までの登りに時間をかけないように先を急いだ。


8㎞までずっと登ってきた。向こうに見えるのはスタート地点の街

第一エイド(Col de La Forclaz)。バン、チーズ、フルーツなど、内容が充実したエイドだった

レース当日は日差しが強くて暑かったので、エイドで食べたスイカがおいしかった~!

 

コースの最高点2200mのRefuge du col de Balme(17㎞)までは、走れる平坦なコースもありながら、基本的にはずっと登り。練習不足の私には、長く続く登りはやっぱりこたえて、徐々に脚が重くなってくる。後ろから他の選手にどんどん抜かれた。欧州の人たちは登りが強い。第一エイドで思った「私、イケるかも!」という楽観的な気持ちがみるみる焦りに変わっていく。日差しが強く、日本のトレイルのように遮るものがあまりないので、ジリジリと日差しを浴びながら、向こうに見えているのに、いつまで経っても着かないRefuge du col de Balme(17㎞)をめざして一歩一歩登っていった。


​日本の山のように遮るものがないコースで、ギラギラと日差しが照らしてくる

コースにはスケールの大きな絶景が待っていた。もっと写真を撮りたかったけど、余裕がなかった

 

やっと登りの最高地点(Col de Balme)に到着したけど、想定より1時間20分も到着が遅れてしまった。
コーラを2杯飲んで、水を補給してすぐに出発。前半ですっかり疲労困憊・・・。「はああ、キツイ!」

 


第2エイド(Refuge du Col de Balme)

第2エイド(Refuge du Col de  Balme)からの下りでは夢のような美しい山々が見えたけど、写真なし(涙)

 

この先はずっと見晴らしのいいコースをグーッと下っていく。景色も最高で、元気なら「ヒャッホー!」と駆け下っていくところなのだけど、すでに脚が重い私にとっては、長く登った後の長い下りは、かなりこたえた。脚が重いけど、前半に遅れた分を思うと、走れるところはできるだけ走っておかなきゃと思い、絶景の写真を全く撮らず、ひたすら下っていった。このあたりにくると、近くにいる選手たちとは、抜きつ抜かれつしながら同じようなペースで進んでいるので、なんとなく仲間的な雰囲気になってくる。

そうそう、レース前日にコースガイダンスをしてくれたオーガナイザーのJean PerrinさんもMCCに出場していて、レース後半はずっと同じペースだった。

「オーガナイザーと同じペースならきっと完走できるんだろうな!」と思い、Jeanさんの姿が見えるペースを保って進んだ。

Jeanさんは自分でレースに出ながら、他の選手のペースやエイドの様子などをチェックしているようだった。初開催のレースカテゴリーだから、こうして主催者自らが実際のレースを体験して、改良点を探るのは、素晴らしい運営方法だと思った。

なんとか完走ペースで29㎞地点の最後のエイド(Argentiere)に到着。最初のエイドで食べたスイカがおいしかったので、また食べたいと思ったけど、無くて残念だった。オレンジをかじって、コーラを飲んで、気合を入れて出発。ここで初めて10分休んでしまった。
「あと11㎞、がんばれ!」と自分に言い聞かせた。

 

たまらない感動が待っていた

フィニッシュまであと11㎞。コースマーキングはわかりやすいのだけど、コース上には距離表示がないので、いま何キロ地点にいるのか、わからなかった。

相変わらず脚は重くて、下り基調といっても、登り返しがあるコースで、夕方になっても容赦なく照らしてくる日差しに、体力が奪われていく。ちょっと立ち止まっていると、”Ritsuko,don’t give up! Let’s go!”と後ろの女性選手が励ましてくれた。ナンバーカードには、自分の名前や国籍が記してある。へたばっているときに名前で呼んでもらえたことは、とてもうれしかった。

 


周りの選手と励まし合いながら、シャモニーをめざす

 

あと何キロって考えると辛いから、「あと2時間、あと1時間半」と時間で考えるようにした。仕事柄、時間耐久には強いので、「どんなに苦しくても、あと1時間半後には終わってる!」と考えると、がんばれると思った。なんでもそうだけど、結局最後は気持ち次第なんだ。レースには、日常の強さが役に立つ。

トレイルから出ると、同じペースで進んでいた選手たちが ”Ritsuko,good job!  you are great!  Proud of you!” と賞賛してくれて、感動して涙が出てきた。同じペースで同じコースを辿ってきた選手たちとは、国籍に関わらず仲間のような意識が沸くのだ。「諦めなくてよかったなあ」という気持ちをかみ締めながら、シャモニーの街までの残りの道のりを一歩一歩進んだ。

シャモニーの街に着くと、街中の人たちから拍手喝采! MCCはプレレースのようなものだから、フィニッシュは盛り上がらないと思っていたけど、シャモニーの人たちは距離に関係なく、選手を讃えてくれた。夢にまで見たフィニッシュ地点までの1㎞の花道は、脚の重さなんか吹っ飛んでしまって、走った。人々はコースの柵をバンバン叩いてノイズを出して、フィニッシュまで背中を押してくれた。最高の瞬間だった。

フィニッシュすると、丹羽 薫さんと大瀬和文さんが待っていてくれて、うれしかったなあ。ツアーのスタッフ、ロマンも待っていてくれて、フィニッシュの写真を撮ってくれた。なんかもう、とにかく幸せな瞬間だった。

 


丹羽薫さん(左)と大瀬和文さん(右)に迎えてもらい、最高のフィニッシュ

 

フィニッシュすると、MCCの完走メダルをもらった。
ずっと一緒に進んでいたオーガナイザーのJeanさんに「いいコースだったよ!どうもありがとう!」と言い、一緒に写真を撮った。


オーガナイザーのJeanさんと。首にかけているのがMCCの完走メダル

 

同じツアーで参加したほかの日本人選手もみんな無事に完走。ホテルでレースを振り返りながら、楽しい時間を過ごした。同じツアーに参加した人たちとの出会いも、ツアーの大きな魅力だ。

2019年も、フィールズ・オン・アースのツアーから申し込めば、抽選なしでMCCに出場できる。UTMBの目当てのレースに落選した人にも、UTMBのレースを味わってみたい人にも、おススメのMCC。ぜひツアー情報をチェックしてほしい。ツアーの申し込み受付はもう始まっているので、お申込みはお早めに。

2019年のツアーの詳細は、下記リンクからご覧ください↓

【ツアーに関するお問合せ先】
フィールズ・オン・アース
公式ウェブサイト https://www.fields-on-earth.com/
TEL:03-6261-6437

 

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