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【連載】宮﨑喜美乃のデータに基づくトレイルランレッスン 第1話 研究者として伝えたいこと

2018.12.26

いつも笑顔で楽しそうに走っている印象が強い宮﨑喜美乃さん。そんな印象とは違い、大学院で運動生理学を学んだ喜美乃さんは、根っからの理論派。基本的に客観的事実を分析し、そこから理論を導き出す。そんな活動を積み重ねてきました。

経験を基に研究を積み重ね、いよいよ研究者としての活動にも力を入れていく決意をした喜美乃さんの新連載が始まります。データに基づいた客観的な視点で、トレイルランについて分かりやすくレクチャーします。

なんとなく勘に頼って山を走っている皆さんに、新しい気づきがある。そんな連載です。

第1話は、喜美乃さんがなにを伝えたいかをお話します。

 


文=宮﨑喜美乃

私がトレイルランを続ける理由の一つに、世界最高齢80歳で世界最高峰のエベレストを登頂し、来年1月にアコンカグアを登頂・スキー滑降に挑む、現在86歳の三浦雄一郎先生の存在があります。

夢を持つこと、夢に向かって努力をすることの大切さを間近で感じ、「自分にとってのエベレストとは何か」を自問自答した結果が、今のアスリート生活に繋がっています。

 


                                写真=山本 遼

 
三浦雄一郎先生の元で働くきっかけとなったのが、 鹿屋体育大学の山本正嘉教授の下、登山の運動生理学を学ばせてもらったことによります。大学3年から大学院2年までの4年間、教授に教わったことは、まず自分自身の身体を使って試してみること、客観的なデータと主観的な意見を合わせて考えること、論文や学会発表で記録に残すこと。この3つでした。
 

 

山本教授からの学びは、今でも私の人生の指針となっています。社会人となり、上記の3つの教えを体現できるものこそが、トレイルランだと思っています。

トレイルランを始めたときから、「挑戦するならデータを取り、それを世に出していきたい」。そう考え、2015年STY優勝時のトレーニングについては、友人の協力を得て自らの経験を論文化させました。

 

 

 

 

話は変わりますが、2017年の登山中の事故件数は、同じように統計を取り始めた2013年以降、過去最多となってしまいました。

『山で行うアクティビティは全て、死を伴う、エッジスポーツである』。私は、このことを山に入る上で常に頭に入れています。しかし、今のトレイルランの現状は、安全性よりも、楽しみ方や強くなる方法についての情報が多く発信されていると思います。


 

楽しさには中毒が伴います。

私は走り始めて24年になりますが、走る楽しさを知り、「向上したい」という気持ちから、努力するしかないと思い、トレーニング馬鹿になってしまっていた時期があります。何度も怪我をし、女性ホルモンを乱してしまったり、心のバランスを崩してしまった経験があります。

楽しさに夢中になり、向かう方向性を間違えると、健康を害することもある。そのことを身をもって知った私は、トレイルランの世界は楽しさだけでないことを、私の経験を通して、成功・失敗に関わらず伝えていきたいと考えるようになりました。

 


登山は人との勝負ではなく生涯スポーツであるため、先を急ぐということはあまりないと考えます。一方、トレイルランは勝敗を決める競技スポーツという側面があり、レースに出ると、順位やタイムといった数値としての評価を第三者にされるため、結果を求めるあまり、自分の限界が判断できず、山での事故のリスクが高まる可能性があります。

しかし、トレイルランナーが客観的に自らを評価するという視点を持てば、自分の体力や知識を客観的に知ることになるので、反省点が明確になり、次のレースや山行に繋げられることが多いと考えます。また、次の目標も立てやすくなります。それによって、山でのトラブルや事故を回避する能力を上げることができると思っています。そして、データに基づく客観的な視点を持つ人が増えれば、山の事故が少しでも減るのではないか、減って欲しい、そう願っています。

 


今回の連載は、より多くの人に伝わるように、論文という形ではなく、データや私の経験談を元に、私の言葉で形を残していきたいと思っています。トレイルランを通して、少しでも多くの方に自分の身体を自分で元気にできるようになるための情報が届けられれば、何より幸せです。

 

 

次回連載は、1月。トレイルランの基本装備について、宮﨑喜美乃さんの経験を基のレクチャーしていただきます。お楽しみに!

 


【みやざき・きみの】
山口県出身。 THE NORTH FACE トレイルアスリート。
鹿屋体育大学大学院で運動生理学を専攻。
ミウラ・ドルフィンズで健康運動指導士、低酸素シニアトレーナーを務めるかたわら、ランニングイベントの講師なども務め、積極的にトレイルランの安全性の高め方や、楽しみ方を発信している。
UTMF2018 女子8位。2018年 日本山岳耐久レース 女子準優勝。

 

宮﨑喜美乃オフィシャルブログ

連載 「Top Runner's Voice」 第2回 宮﨑喜美乃(2015年)

 

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