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ハセツネ2018DVD発売記念。sideBの主役?、MtSNスタッフ宮崎が語る「ハセツネ無補給チャレンジ」

2019.02.25

2/20に発売開始されたDVD【HASETSUNE 2018】。
sideA「トップランナー激走編」43分
sideB「一般ランナー奮闘編」47分
の2部構成となっているが、
sideBでは、同レースに出場したMtSNスタッフ・宮崎(レース時51歳)の<無補給>挑戦の模様を、かなりの時間を割いて取り上げていただいています(多謝!)。

〈Trail Movie Shop ランかめ〉http://rlw.thebase.in/items/13991048
〈Amazon〉https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07NTTK21W

 


 


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このDVDの映像を補足する意味で、宮崎が登山雑誌『山と溪谷』2018年12月号に書いたレポートを加筆して、ここに掲載しました。DVDと併せてお楽しみください!


 

トランスジャパンアルプスレース2018(2018年8月開催)で、「山岳王」望月将悟がチャレンジしたのが、スタート時点で全食料を担ぎ、水も自然の流水以外では給水しない<無補給>によるチャレンジ。

この望月のチャレンジに感情を揺さぶられたMtSNスタッフ・宮崎は、自分も同じような挑戦をしようと心に誓い、日本山岳耐久レース2018(ハセツネCUP)を舞台に、自らの限界に挑む<ハセツネ無補給>に挑んだのであった!


写真・文=宮崎英樹/MtSNスタッフ

 

トランスジャパンアルプスレース(TJAR)は、8日以内で日本海から太平洋までを踏破する耐久レースだ。

このTJARを4連覇し、最速記録ももつ望月将悟さんは、2018年大会でも5連覇と新記録を狙うかと思われたが、まったく違った。望月さんは全行程の食料をスタート時から担ぎ、山小屋やコンビニなどではいっさい購入しない。水は自然の流水以外は汲まないという、自ら決めたルールのもとで完走をめざしたのだ。そして6日16時間7分、6位でフィニッシュした(出場選手30人中)。スタート時のザックの重さは15㎏だったという。

軽量化を極限まで突き詰めるTJAR選手のザックの重さは平均で約6㎏。15㎏という重さはスピードを競うレースでは大変なハンデになるが、望月さんはあえてこのスタイルで出場することで、スピードを追求するだけではない、登山本来のあり方を示そうとしたのだ。

この望月さんのスタイルにインスパイヤ―ドされた編集部・宮崎は、制限時間24時間の日本山岳耐久レース(通称ハセツネCUP)で、真似事を実践してみた。要は、ふだんのツエルト泊の縦走(=ファストパッキング)とほとんど同じ装備を担いでハセツネCUPに出たら、自分は24時間の制限時間以内に完走できるのか?という、自己へのチャレンジである。

手前味噌だが、これはハセツネCUPの理念に沿う挑戦だと思う。というのは、東京都山岳連盟が1992年に始めたハセツネCUPは元来、標高6000m、8000mといった高峰をめざす登山者のトレーニングという意味合いがあるからだ。高峰登山では、最終キャンプから山頂をアタックする際、連続で24時間も行動し続けなければならない場合も出てくる。24時間連続で動き続けられる体力を養うトレーニングとして、当時、さまざまな山岳会が実践していたのが「カモシカ山行」だ。このカモシカ山行をレースにしようぜ、という発想で始まったのがハセツネCUPなのだ。

よって、ハセツネCUPには食料をもらえるエイドはなく、水分も42㎞地点で1.5ℓもらえるだけと、じつにストイックだ。ハセツネはエイドが充実してないから嫌い、とか言ってる人は、根本から勘違いしているのだ。ハセツネとはそういうものであり、決められたルールの中で、どれだけ力を発揮できるか(またはどれだけ楽しめるか)を競えばいいのだ。

私は望月さんと同じく、「食料は無補給。エイドの水は受け取らない(自然の水場はOK)」とのルールを定めた。要するに、他の選手と私との差は、私のほうが水を1.5ℓ余計に担ぐというだけ。はっきり言って、ぜんぜん大したチャレンジでもないし、世界的偉業でもない(冗談で「世界的偉業!」と連呼しているのはさておき)。これだけでは自己への挑戦として小さい。そこで、ガスとクッカーを持ち、3カ所の関門でお湯を沸かし、カレーやカップ麵を食べ、コーヒーを飲む、という別の課題もプラスすることにした。そのぶん荷物は重くなり、休憩時間も長くとらざるを得ないため、24時間以内の完走は厳しくなるだろう。

TJARの無補給と、ハセツネの無補給を比べれば、スケールは100分の1、いや1000分の1くらい小さい。そんなことは百も承知だ。ただ、私個人にとっては、制限時間の24時間以内に完走できるかどうか、やってみないとわからないチャレンジだ。なんせ、過去6回完走しているハセツネのフィニッシュタイムは、速くて16時間台、遅いときは19時間台という私だから。とはいえその際も、水は3ℓ、食料は2周できるくらい持っているし、ツエルトも必ず入れている。ザックの重さは毎回、6㎏はあったと思う。それと比べ、4㎏ほど増えることでどんな影響が出るのか? これだけはやってみないとわからない。

スタート直前に持参した体重計で装備の重さを計量。総重量は10.5㎏。このうち水分は5.5ℓだ。

 


今回持参したアイテムの数々

 


ザック本体の重さは9.7㎏。これにウエストポーチの重さを加えて10.5㎏

 


今回の全装備リスト

 


本物の「無補給・山岳王」(望月将悟さん=右)からエールを受ける、エセ無補給チャレンジャー・宮崎



大会史上最高の32℃の猛暑のなか、10月7日13時にレースはスタートした。私は最後尾から100番目あたりのポジションから出発した。


最後尾付近に並ぶ仲間たちその①

 

 


最後尾付近に並ぶ仲間たちその②

 

 


スタートした。最後尾から100番目くらいか?

 

はじめは完全に歩きに徹し、1.5㎞地点で約2500人の選手の最後尾になった。これは狙い通り。最初にトレイルに入る地点で大渋滞が発生しており、何十分もの間、まったく動かない。山仲間でもあるスイーパーとのんびり話をしながら、列が動き出すのを待つ。日向は暑いので、なるべく木陰にいるように努めるが、気温だけでなく湿度もかなり高く、じっとしているだけで汗がじわっと出てくる。

 


スタート1.5㎞地点の渋滞箇所で。本当の最後尾に

 

その後、トレイルに入り、変電所の横を抜け、舗装道路区間も終わり、いよいよ本格的トレイルへ突入。ザックが重いため、下りを含め完全に歩きに徹する。登りもゆっくり(とはいえのんびりペースではなく、心拍もそれなりに上がっている)。10.5㎏の重さがずっしりのしかかる肩が、とにかく痛い。

入山峠の予備関門は関門時間の18分前に通過。この時間はまったく意識しておらず、危なかった!

醍醐丸を通過した時点で早くも真っ暗。ここはこれまで7回通過しているが、暗くなってから通過したのは初めて。つまり、史上最高にペースが遅い。だが、遅いからラクということはまったくない。周囲の選手の登りのペースは決して遅くなく、特に登りでは遅れないようについていくのがかなりきつかった。

夜を迎え、22㎞地点の第1関門・浅間峠は20時38分(7時間38分7秒)で通過。制限時間の22時は余裕でクリアした。ここで、どっしりと座り、お湯を沸かしてカレーメシをおいしく食べ、ホットコーヒーも飲む。食欲は旺盛だ。トレッキングポールを取り出し、第2関門めざして歩き始める。

 

日中の高温多湿のせいか、今思えばかなり汗をかいて脱水状態だったのか。30㎞を過ぎたころ、猛烈な眠気がやってきた。何度も横になり、3分~5分くらいの睡眠を繰り返す。三頭山への長い登りでは、標高差100m分登ると必ず眠気が襲い、寝る。寝ると調子が回復するが、寝ないとどうにも登れないのが不思議でおもしろい。食欲もじょじょになくなっていった。

三頭山から鞘口峠へ下った先で、第2関門の制限時間が近づいていることに気がつき、愕然とする。まさか、制限時間に追われながらの展開となるとは正直考えていなかったのだ。ここまで一歩も走らずに来て、あわよくば最後まで一歩も走らずにフィニッシュするという欲もあったのだが、そんなことは言ってられなくなった。ちょっと気持ち悪いのでペースはゆっくりだが、下りは小走りする。

第2関門・月夜見第二駐車場には3時45分(14時間45分10秒)到着。制限時間まで残り15分しかないギリギリカツカツだ。ここでは水またはポカリスエットを計1.5ℓもらえるが、私は無補給挑戦中なのでもらわない。ギャグで知り合いの給水スタッフに向かって「僕、無補給だからいりません」なんてしゃべる。ここでも「お湯を沸かしてカップ麺を食べる」を実践するが、食欲がなく、なかなか食べられない。スイーパーが出発する4時10分までに出ないとアウト、レースを続けたい選手はそれより前に出発しろ、というアナウンスがされた。急いでお湯を沸かし、食欲がなくて気持ちわるいのにカップめんを無理やりかきこみ(飲み込むのにひと苦労)、コーヒーも飲んで、猛急で片づけ、4時9分30秒に出発。スイーパーが出る30秒前だ。

 


翌日3時56分、第2関門でカップ麺とコーヒーが完成! 早く食え~!

 


眠気と内臓疲労のため、楽しみにしていたカップ麵なのになかなか喉を通らず苦戦
(見苦しい写真ですみません)

 

 

再び、全選手中、ほぼ最後尾に逆戻り。その後も御前山までは眠くて眠くて、何度も横になった。

ところが明け方になると、なぜか元気が湧いてきた。明るいって素晴らしい。眠気が消え、トレイルもはっきり見えるようになって、自然とスピードが出る。

大岳山を下り、綾広の滝前の水場で天然水をたらふく飲む。持参していた飲みものはぬるくなり、おいしくなかったので、よく冷えた天然水がものすごくおいしく感じた。

第3関門・長尾平(58㎞地点)は制限時間の10時よりだいぶ早い9時11分に通過(20時間11分47秒)。ここは応援が賑やかな場所で、私も元気をたっぷりもらう。

第3関門からは走るっ!

 


明るくなったら元気になり、快調な頃。10時ごろ、日の出山付近

 

 

雨がポツポツ降る日の出山で3回目の湯沸かし&コーヒー。計画では「夜明けのコーヒー」のはずが、「昼下がりのコーヒー」になってしまった。

御前山まで歩きの筋肉しか使わなかったためか、または荷物が軽くなったためか、下りを走る力はまだまだ残っていて、いつの間にか雨の上がった金毘羅尾根は、とても気持ちよく走り続けられた。らんカメのカメラマンが、日の出山からゴール地点まで完全密着で並走しながら映像を撮ってくれた。

そしてついに、22時間35分18秒でゴール! これまで7回完走したなかでタイムはいちばん遅かったが、初完走した07年と同じくらい、記憶に残る年となった。

 


仲間たちが出迎えてくれた。「やり遂げた感」は半端なかった

 

あなたも、普通に出場するだけでももちろんいいですが、自分なりの課題をプラスして、ぎりぎり24時間以内で完走できるかどうかのチャレンジをやってみてはいかがだろうか? 早歩きでも完走できる、といわれるハセツネならではの<自己へのチャレンジ>。きっと、おもしろい体験ができますよ。

 

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