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ウルトラトレイルの練習にも最適 ! トレイルを登ってゴンドラで下る「6時間耐久ヴァーティカルレース」in フランス

2019.05.10

雪解けがはじまり、冬の間、山スキーやクロスカントリースキーを履いていた人たちが、スキー靴からランニングシューズに履き替えはじめる4月から5月初旬。フランスでその時期に開催されるのが、スキー場のゴンドラを利用した「耐久ヴァーティカルレース」。現在、フランスでは毎年5カ所でレースが行なわれ人気となっている(うち1つは夏もオープンの氷河スキー場のため8月に開催)。

そのうちのひとつが4月に開催され、悪天候にも拘らず350人以上の参加者を集め、トレイルシーズンの幕開けを告げた。そのレースの様子と、トレイルランのコーチたちが力説する「下りにゴンドラを利用する耐久ヴァーティカルレースのメリット」についてリポートします。

写真・文=祐天寺りえ

 


レースが開催されたのは、フランス・メリベル(Meribel)スキー場。スタートはメリベルスキー場の麓、最も標高の低いゴンドラ駅があるブリッド・レ・バン(Brides les bains)という村(標高586m)。
そこから次のゴンドラ駅がある、標高1111mのレ・ザリュー村まで、標高差525m、距離3.6kmのトレイルを駆け上り、登りきったところでゴンドラに乗り、約10分かけてスタート地点まで降り、また同じコースを登る。それを10時から16時まで繰り返し、6時間の間に何度登れるかに挑戦するインターバル耐久レースだ。

 


計測タグにはアンクルバンドを使用。スタート地点からゴール地点までのタイムを毎回記録する


 
登った回数が多いほど上位にランキングされ、回数が同じ場合には走りの総合タイムが短いほど上位となる
 
レースエントリー代は、ソロ(1人)25ユーロ/デュオ(2人1組。男女ミックスも可)35ユーロ/14時スタートで1回だけ登るタイムレース 8ユーロ。インターネット申し込みは3日前に打ち切られるが、当日も5ユーロ追加で、スタート30分前までエントリー可能
 

なぜ参加者&リピーターが多いのか?
 



 

私も過去このレースに参戦したことがあるが、ただ単に「自分自身への耐久チャレンジレース」だと思っていた。もちろん、そういう人も多い。でも常に上を求める人達は必ずしもそうではなく、このレースに出る相応の狙いがある。


下りにゴンドラを利用して登りを繰り返す「耐久ヴァーチカルレース」のメリット

ウルトラトレイルランナーにとって、筋力、心肺能力、戦略力、テクニック、生理面など、課題は多種多様だ。でも、このように、ゴンドラを使用して下山する「登りオンリーのレース」ではそれらの課題から一部だけをピックアップした「焦点を絞ったトレーニング」が可能になる。以下がコーチ達が推奨する主な理由だ。

■メリット1 身体ダメージ&リスクの軽減

ゴンドラで降りることにより筋力と関節への負担、とりわけ膝への負担を大幅に軽減でき、それはなにより「長距離ランナーの不安や懸念の軽減」に大きくつながり、レースを楽しんだり挑戦心を旺盛にすることができる。

 


参加費はゴンドラ代と考える参加者も多いが、じつはゴンドラの下り乗車は常に無料。つまりリフト会社への支払いはなく、大会収益はほぼ全額、地元の山スキー&トレイルクラブの資金になる

 

■メリット2  ウルトラトレイルの「登り部分」に的を絞ったエクササイズができる

「登りのみの長距離走行」であることは、レースに参加しながら、同時に「登りへの筋力や持久力」に集中して考察&トライできるシンプル・トレーニングにもなる。
 


■メリット3 戦略&自己管理への考察&トライがしやすい

膝痛など下りへの不安や懸念から開放される分、長時間の耐久レースへの「時間配分への戦略」や「栄養補給」など「自己管理」についても集中して考察&トライすることができる。



ソロの選手は登り切ったところのエイドで飲み物と食べ物を手にし、ゴンドラへと走り乗り込む
 


ゴンドラに乗り込んでスタート地点まで下る10分間に栄養補給&ストレッチなどをして再走に備える
 


デュオ(2人1組)の選手は、ゴンドラを降りたところで相棒にバトンタッチ。
麓のエイドで栄養補給しながら次に走るためのウォームアップをして過ごす


■メリット4 トレーニングに適した標高差&距離&斜度


標高差500m〜600m、距離3.5km〜4kmは、ウルトラトレイルへのインターバル練習に最適。また斜度が30〜40度を越えることはないというのも、シーズン中、トレイラー達が随所に組み込むであろうショート・トレイルレース(斜度8〜15度)の準備に有効な斜度といえる。ただレース時間が6時間というのはエクササイズとしては少し長く、むしろソロよりもデュオ(2人1組)が好ましい。しかも約40分から50分休み、ふたたびび走る方がインターバルによる心拍戦略力も養える。

 


デュオは男子同士・女子同士・男女ミックスと分けて表彰される。写真は男女ミックスの表彰台


いずれにしろ下りによる身体リスクなしに「スピード」と「自己管理能力」を問い、養えるのが、このゴンドラ使用の耐久ヴァーチカルレースの最大の魅力。ウルトラトレイルの良い練習になることは確実と、多くのトレイルランナーとコーチ達が絶賛。今後、ますます開催地は増えていくだろうとも予想されている。



スカイランニングにも数多く参戦している3児のママが走る。朝10時から夕方16時まで、パパと子供達は標高1100m地点で応援。ママが走ってくるとゴンドラに乗って一緒に下山。10分間の団欒を楽しみ、また子供達とパパはそのままゴンドラで登り、上でママを待つを繰り返す。このレースは毎年の楽しみのひとつでもあるそう
 


そして3児のママ選手は女性同士のデュオ(2人1組)で優勝


レース成功の最大の秘訣は、やはりムードのよさ

でもそれらトレーニング・メリットよりなにより、フランスで人気の大会にするために肝心なのは、やはり「エイドの充実度」かもしれない。



まずは朝、コーヒーやジュース、菓子類などの朝食エイドを出す
 


レース中はスタート地点と到着地点でチーズやハム&サラミ、ポテトチップスなど塩分モノから、バナナ、チョコ、ケーキ、ボンボン(キャンディ)などの糖分モノ。さらにはオレンジやレモンなどの柑橘類や水、ジュースなど飲料をふんだんに提供(でも、それらは全て地元スーパーからの提供でノーコスト)
 


参加者全員が貰える参加賞も地元産パスタ
 


苦しい耐久レース中も、エイド食を持ち込めばゴンドラ内は和める宴会場になる


毎年開催の他4件のゴンドラ下山での耐久ヴァーチカルレース情報


1.2019年4月13日 Ultra Montee du Saleve 6時間・標高差663m・3.2km /60€

2.2019年4月27日 Montee du Funi 4時間・標高差840m・4km /9€

3.2019年5月4日 Ultra Montee des Melisses 8&4&2時間・標高差553m・3km /Solo50€・Duo70€

4.2019年8月17日 Tignes hard  3時間・標高差600m・距離不明 /Soko15€・Duo20€

 

Text&Photo:祐天寺りえ

協力:MÉRIBEL SPORT MONTAGNE,
         MÉRIBEL COEUR DES 3 VALLEES


 

 

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