MtSN

登録

登って担いで滑り降りる! 山岳スキー競技(SKIMO)日本選手権2019レポート

2019.06.19

近年、日本でも徐々に盛り上がりを見せている山岳スキー競技、通称SKIMO(Ski Mounteneeringの略)。スキーにシール(滑り止め)を付け、決められたコースを山に登り、滑り降りるタイムを競う山岳スポーツだ。ここでは、今年4月6日(土)〜7日(日)に開催された、SKIMO日本選手権の様子をレポートする。

文=横尾絢子(日本山岳協会山岳スキー委員)
写真=倉橋俊行(日本山岳協会山岳スキー委員)
 

今年は「バーティカル」種目を新設、加藤淳一選手と滝澤空良選手が優勝
 

日本選手権の開催場所は、例年通り、長野県・白馬の栂池高原。出場選手は、過去最高の71名となった。ここ数年、トレイルランナーやスカイランナーの参加者が増えており、SKIMOがスポーツ競技として少しずつ発展してきているのを感じる。昨年までは、登りや滑り、担ぎなどを含む「インディビジュアル」種目のみが開催されていたが、今年は、新しく「バーティカル」種目が設けられた。バーティカルとは登りのみで、滑りがない種目。6日(土)にバーティカル、7日(日)にインディビジュアルが実施された。

6日(土)は朝から快晴となった。バーティカルのコースは、ゲレンデ内に設けられ、標高差430m。トップ選手はなんと25分足らずで、最後の選手も1時間以内にゴール。シニア男子の優勝は、加藤淳一選手。ケガから復帰したばかりにも関わらず圧倒的な強さを見せつけた。シニア女子の部の優勝者は、若手の滝澤空良選手。SKIMOの女王・星野緑さんを2位に抑え、堂々の優勝を飾った。
 


左から、男子・バーティカル種目優勝者の加藤淳一選手、準優勝の星野和昭選手、3位の小川壮太選手

 

中央が、女子・バーティカル種目優勝者の滝澤空良選手、左が準優勝の星野緑選手、右が3位の上田絢加選手


土曜夕方から開会式を実施、世界選手権の報告も
 

6日(土)の夕方からは、ゲレンデ脇の観光協会の事務所で、開会式が行われた。午前中に行われたバーティカルの表彰式と、翌日のインディビジュアルのブリーフィングのほか、式の終了後は、3月にスイスで開催された世界選手権のスライドショーも行われた。

スライドに映しだされた写真と、監督兼選手として参加した松澤幸靖さんの解説から、世界の盛り上がりが伝わってきて、選手たちはみな熱心に耳を傾けていた。また、開会式会場での楽しみの一つが、SKIMO関連ショップの出店。今年も、普段は手に入りにくいSKIMOのギア・ウェアがセール価格で販売されていた。

 


開会式のブリーフィングでは、翌日のレースコースの説明と注意事項が伝達される

 


スイスでの世界選手権の報告。多くの選手がスライドショーに見入っていた


6日(土)の夜から日曜日の午前中は雨が降る天気予報となっていたが、何とか天気は小康状態を保ち、7日(日)の朝は曇りとなった。天気が変わりやすい春という季節柄、過去の日本選手権ではコース短縮などの変更があるのが常だったが、今年は短縮なしのフルコースでの実施となった。フルコースでの実施は、2014年以来5年ぶりとなる。
レースは定刻通り9時半にスタート。DSを除く65名の選手がゴンドラ脇のレストハウス横から飛び出していった。

 


スタート風景。色とりどりのレーススーツに身を包んだ選手たちの熱気が感じられた

 

インディビジュアル種目は、小川壮太選手と星野緑選手が優勝
 

シニア男子のトップ争いは、小川壮太選手・加藤淳一選手・藤川健選手の三つどもえとなった。滑りを得意とし、過去に日本選手権7連覇の記録をもつ藤川選手。トレイルラン出身で、特に登りで圧倒的な強さをもつ加藤淳一選手。そんな二人を抑え、優勝を飾ったのは、プロトレイルランナーとして国内外で活躍する小川壮太選手だった。

レース後のインタビューで、小川選手は「ようやく…ようやく勝てました」と想いを吐き出すように語った。実は、小川選手は去年も日本選手権で優勝したが、それは藤川選手・加藤選手が海外レースに参加して不在していたなかでの優勝だった。それまで藤川・加藤の厚い壁を感じてきただけに、この二人を破った今回の優勝は、特別なものだったようだ。シニア女子は、SKIMOの女王・星野緑選手が優勝を飾った。2位は滝澤空良選手、3位は渡邉ゆかり選手だった。

 


加藤淳一選手(手前)の後から追い上げる藤川健選手(後ろ)

 


中央が男子(国際規格部門)優勝の小川壮太選手、左が2位の藤川健選手、右が3位の加藤淳一選手

 


中央が女子(国際規格部門)優勝の星野緑選手。左が2位の滝澤空良選手、右が3位の渡邉ゆかり選手

 

極度に難しい春雪に苦戦を強いられた選手たち
 

今年の日本選手権は、滑りの難しさが際立った。直近に降雪がなく、以前降った雪が昼の高温で「腐れ雪」となり、これ以上ないくらいの悪いコンディションとなった。緩斜面でもスキーが滑らず、苦労をした選手が多かったようだ。表彰台に上がったトップ選手たちが「僕たちも転びました(笑)」と語るくらいの難しい雪質で、なかにはスキーを折ってしまい途中棄権となった選手もいた。また久しぶりのフルコースでの実施とあり、例年に比べ、タイムアウトとなる選手が多くなった。

装備やルール規定なども含め、ほかのレースよりも厳しい部分もあるが、これもまた、日本選手権ならではの難易度とレベルの高さであり、面白さの一部だろう。

 


例年にない悪雪で体力が削がれ、ゴール後に倒れ込む選手も

 

年々、愛好者が増えているSKIMO。過去最高の71名が参加した今年の日本選手権では、ジュニア(18歳〜20歳)やカデット(15歳〜17歳)部門の参加者もいて、選手層が次第に厚くなってきているのがうれしい。とは言っても、まだまだ発展途上のスポーツであることも間違いない。日本の素晴らしいフィールドを生かして、この競技が多くの人の人生に充実感や幸せをもたらすスポーツへと発展してほしいと思う。

*最後に
日本山岳協会山岳スキー委員会委員長の澤田実さんが、5月17日、ロシアのカムチャツカ半島のカーメン峰にて亡くなられました。日本選手権大会では常に先頭で指揮を執り、運営してくださった方です。澤田さんの安らかな眠りを心からお祈り申し上げます。

最新ニュース

進化したインソール、シダス「ラン3D」新登場
モニター募集中! 安定性と衝撃吸収力の高いラン3DプロテクトJPと、しなやかで軽量なラン3DセンスJP。自分の走りにマッチするモデルが選べる。
過去の記事を見る
MtSNが過去に掲載した注目の特集・連載記事のアーカイブ。ニュース記事のインデックスとしてご利用ください。
トレイルランPRニュース
イチ押しの大会や、最新のギアやサプリなどの注目情報はこちら!