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【連載】「RUNNERS’TALK」 ウルトラトレイルレースの魅力とは? 第3回  文=野間陽子

2014.11.20

 ウルトラトレイルレースの魅力を紹介する連載の3回目は、私自身が今までの経験から得た補給のコツとペース配分について紹介します。

 トレイルレースにおいて、力強くレースを続けていくためには、水分や補給食、サプリメントの摂り方に工夫が必要です。また、ウルトラトレイルレースのように距離が長くなればなるほど、ペース配分にも工夫が必要です。

 

■補給について

 ウルトラトレイルレースは、距離や累積標高差、平均標高などの違いによりコースタイプがいろいろありますが、トップランナーでも20時間前後、最終ランナーに至っては60時間以上走り続けるレースです。

 レース中にはお腹も空きますし、休憩も必要です。補給を上手に実行できれば、レース中の疲労を少なく、蓄積させずに走り続けることができます。


▲グラン・レイド・レユニオン2014スタート前の様子。
熱気溢れる会場で2300人のランナー達が開幕の瞬間を待つ

 


▲スタートは22時30分。3度目の夜明けを迎えるまで走り続けるレースへ、いざ出発!

 

 補給するにあたり重要なことは、「タイミング」と「なにを食べるか」です。トレイルランニングをレース以外で楽しんでいる時、私はおおよそ1時間半から2時間に1個のペースでおにぎり等を食べます。ちょうどそのタイミングで空腹を感じるからです。

 レース中は空腹を感じる前に補給をしてエネルギーが枯渇する時間を作らないようにしたいので、1時間おきを目処に補給します。エイドステーションを利用できる時はエイドステーションにあるものを、エイドステーション以外では自分で持っていく稲荷寿司や菓子パン等、なるべく固形物を摂ります。

 距離が70km以下程度のトレイルレースでは補給食はジェルだけを用意することもありますが、70km以上のレースになるとジェルに飽きてしまい摂取できなくなることが多いので、変化をつけた固形物を積極的に摂取します。

 


▲グラン・レイド・レユニオンのエイドステーション。
大勢のボランティアスタッフが選手を温かく迎え、力強く送り出してくれる

 

 1時間おきの固形物の摂取に留意してトレイルレースを進んでいても、脚が動きにくくなり胃が疲れてくるのが100kmを過ぎたあたりから。エイドステーションで用意してある食べ物を好んで頂く私も、100㎞地点を過ぎると疲労でなにも食べられなくなります。

 胃が疲れて補給食を摂取できなくなると、エネルギーが切れて、さらに脚が動かなくなる負のスパイラルの始まり。でも大丈夫。私には最強に回復する秘密の裏ワザがあるのです。

 

■最強回復の裏技とは?

 UTMF2014を走った時のことです。104km地点にある8ヵ所目のエイドステーションで、私は8度目のエイド食をどうやっても摂取できずにいました。このままレースに戻って大丈夫なのかと不安に思っていたちょうどその時、サプライズ応援に駆けつけてくれた友人達の出迎えを受けました。

 友人達はカップラーメンを用意してくれていて、私に食べるよう勧めてくれます。固形物を想像しただけで気持ち悪い状態だったので、まさか食べられるわけはないと思いながら一口含んでみると、これがなかなか美味しい。

 脳が拒否反応するのを止めたかのように、すっかりカップラーメンを食べ切りました。それが胃の窓口を解放してくれたのか、その後は用意されたエイド食も受け入れることができ、エネルギーをチャージしてレースに戻ることができました。

 アンドラ・ウルトラトレイル2014では、UTMF2014の教訓を生かし、日本からカップラーメンを持って行きました。銘柄は、お気に入りの「カップヌードル・シーフード味」。アンドラ・ウルトラトレイルのエイドステーションの給食は美味しくて精力的に食べ続けたのですが、やはり100kmを過ぎたあたりから気持ちが悪くなり、食べることが困難になりました。

 でも、130km地点のエイドステーションに預けたデポジットバックの中にカップラーメンを忍ばせておいたので、そこまで行けばエネルギーを摂れるという安心感が、私を支えてくれました。

 130km地点でのエイドステーションでは、弱々しくもカップラーメンを完食し、しばらく仮眠して目覚めた後は、エイドステーションの給食も補給できるほどに食欲も回復して、ふたたびレースに戻ることができました。


▲グラン・レイド・レユニオン2014のクレープエイド。
フランボワーズジャム、アプリコットジャム、プレーン、ハムの4種。美味しくて食べ過ぎたほど

 

■ペース配分について

 ウルトラトレイルレースは長時間に渡るレースなので、蓄積していく疲労といかに付き合うかが、レースを展開していく上でのカギと言えます。長いレースを最後まで走り続けるために私が意識していることは、体力の温存。体力が疲労を上回っている限り、レースは続けられると思うからです。

 では、体力を温存するためにはどうすればよいのか。頑張り過ぎて消耗が激しくなるような走り方はしない。寒さや暑さで体力を消耗しないようなウェアリングを心がける。エネルギー切れを起こさないよう適宜補給する等々、具体的には色々ありますが、常にまだまだ先にあるフィニッシュゲートをくぐるために体力温存することを念頭に置いて、ペース配分をします。

 いくら身体を動かし続けているとはいえ、長いウルトラトレイルレースの間には眠たくなる時間がやってきます。

 眠くなる前にレースを終えてしまうトップランナーや、眠くならないランナーもいらっしゃると思いますが、私は夜明け前の数時間は必ず睡魔に襲われます。その時は、無理に動き続けようとはせず、休息することにしています。次のライフベースまで頑張って進み、そこで30分から1時間程度シューズを脱いで脚を休め、横になります。

 短いながらも深い眠りの効果は絶大で、目覚めた後の回復ぶりは、前に進む気持ちを大きく後押ししてくれます。

 補給とペース配分については、まだまだ試行錯誤が続いていて、私にとって、それは終わりのない課題です。そんな試行錯誤の中、2014年10月末に、アフリカ大陸南東マダガスカル島沖にある孤島、レユニオン島で開催されたトレイルレース、グラン・レイド・レユニオン2014を走ってきました。次回はそのレースレポートを紹介します。

 

【プロフィール】

野間陽子(のま・ようこ)

1965年愛媛県松山市生まれ。東京都千代田区在住。マラソン歴11年、トレイルランニング歴7年。「UTMB 2013」44時間25分、「第21回日本山岳耐久レース」11時間09分、「UTMF 2014」35時間50分、「Andorra Ultratrail 2014」55時間21分。2014年10月にアフリカ・レユニオン島で開催された「グラン・レイド・レユニオン」(172km/累積標高差10000m)を54時間49分で完走。

 

 

【連載バックナンバー】

第1回 なぜ私はウルトラトレイルレースを走るのか

第2回 ウルトラトレイルレースの事前準備

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