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連載エッセイ トレイルランナー山田琢也の「RUN FOR LIFE」 NO.007

2015.05.01

第7回 信州のトレイルシーズン開幕!

やっときました私のトレイルシーズン! 北信州の長~い冬を越して6ケ月ぶりとなったレースは、
4月25日に開催された善光寺ラウンドトレイル。今回はそのレースレポートを紹介します。
信州のトレイルシーズン、いよいよ開幕です!
文=山田琢也 写真=藤巻 翔


給水する暇もない!? ジェットコースター的トレイル

 長野市内の里山をラウンドする「善光寺ラウンドトレイル」は、いわゆる“ゆる〜いイメージの都市型トレイルランレース”とイメージされる方もいらっしゃるでしょう。でもじつのところは、コースは17kmの行程で累積標高が1100m。短い上り下りに急カーブが次々とやってきて息をつく暇がない、まるでジェットコースター(ジェットコースター、嫌いなんですよね。気を抜くと振り落とされそうで・・・)。
 


17km先のゴール目指してよーいどん! 信州のトレイルランシーズン開幕!



短い登りと下りが連続するジェットコースターみたいなコース。
最高の天気のもと、新緑のなかを走る


 そんな忙しいレースだけに、ゆっくりと給水する暇すら与えられないだろうと思っていたけど、予想は的中してしまった。スタートから大瀬和文が飛び出した。レースは序盤からハイスピードな展開。私は無理に追わずに、いつも通り自分のテンポ、リズムで走ることを心がけた。長丁場のトレイルランレースでは我慢が肝心。のちのち、チャンスは必ずやってくる。

 ところで“いつも通り”ってなんだっけ? と走りながら考えていた。前回のレースから6カ月も経っていると、レースに出場すること自体が新鮮。レース前の調整ってこんな感じだったっけ? ウォーミングアップはこんなもん? 装備足りてるかな? シーズン一発目のレースは、毎度のことながら不安がつきもの。でも、これはこれで好きな感覚だったりする。ああ、いよいよ始まったんだなって。

  北信州では12月から4月いっぱいは積雪のためトレイルは雪の下。真冬はトレイルどころか道がない日も。家を出て車までラッセルとか日常茶飯事。桜が散ったのに、いまだに地元の山には雪があって走ることができない。冬の間、SNSなどでみんなの活動をみていると、ちょっと焦ったりもする。

  でも今なら、これが北信州で暮らすメリットだって気さえする。まず、走らないから怪我が完治する。トレイルランに対するマンネリ感がない。走れないので仕方なく別のアウトドアスポーツをすると、トレイルランに役立つ気づきや閃きがあったりする。そもそもトレイルラン以外のスポーツも楽しい。そしてなにより、雪が解けて、春になって、ようやくやってきたトレイルランシーズンのワクワクがたまらない。

  さて、レース中盤。大瀬の逃げが決まりかけたように思われたが、背中が見えてきた。ジリジリと確実に近づいている。後続選手の姿は見えない。まずは追いつきたいのでスピードを上げるが、あと10mまでいくと、その先がどうしても埋まらない。そんな中、先を行く大瀬の足が痙攣している様子を私は見逃さなかった。チャンスとばかりにアタックしようとした瞬間、まさかの私の脚も痙攣…。まるでコントのようだったけど、とても笑えない。
 


トップを走る大瀬選手と10mの差を詰められるか!と思いきや、この後脚が攣りました


  大瀬と10mの差を保ったまま、ラスト2㎞へ突入した。ここからフィニッシュまで、最後の下りを一気に駆け降りる。陸上のトラックレースのようなスパート合戦。脚がちぎれそう。

  フィニッシュは大瀬から8秒遅れの2位。負けたことは悔しいけど、全力を尽くした結果に清々しい気持ちのが強くて、私にとっての“いつも通り”とは、どんな時でも全力を尽くす、これに尽きる、ってことがストンと心に落ちた。


トレイルラン仲間たちと久々の再会。これがレースのいいところ

 


走る方も迎える方も楽しいのがトレイルラン。お疲れさまでした!


  レースが終わると、次のレースでああしたい、こうしたい、そのためになにをするべきかがどんどん湧いて出てくる。とりあえず今いちばんしたいこと、それは猛烈に走りまくりたい。うん。これもいつも通り。眠れないくらい、脚も心も痛くて悲しい結果に終わったハセツネ(詳しくはこちら→第3回 レースをやめる決断について)から半年ぶりのレースで、この“いつも通り”を味わえたことが、この上なく心地よかった。

  ところで。全力で走るのも猛烈に走りたくなるのもいつも通りのことだけれど、こんなに短いスパンで連載を書くのはいつも通りじゃない!? 2015シーズンは、これがいつも通りの連載ペースになりますように・・・。

【2015 善光寺ラウンドトレイル・リザルト】
17km男子 17km女子

 

山田琢也(やまだ・たくや)

1978年長野県生まれ。飯山南高校~同志社大学ではクロスカントリースキー選手として活躍し、社会人となってスキーアーチェリーに転向。3年間のドイツスキー留学ののち、2007年ロシア世界選手権優勝。同年にトレイルランニングと出会い、以降トップシーンで活躍中。現在はスキーポールやワックスを取り扱う(有)ジェイエフデザインに勤務しつつ、NPO法人insideoutスキークラブのアクティビティリーダーとして、飯山・木島平を拠点にさまざまなアウトドアスポーツの魅力を発信している。

山田琢也公式Facebook

 

【連載バックナンバー】

第1回 クロスカントリーの世界からやってきました

第2回 信越五岳トレイルランニングレース110km レポート

第3回 レースをやめる決断について

第4回 アスリートと休養について その1

第5回 アスリートと休養について その2 

第6回 0.1秒差で負ける

 

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