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「日本トレイルランニング会議」と「日本トレイルランナーズ協会」が併存状態へ

2015.05.08

 4月27日、東京の立正大学で、日本トレイルランナーズ協会(以下、協会)の設立発表会が行なわれ、全国各地からトレイルレース主催者、プロトレイルランナー、メディアなど約60人が集まった。

 同協会は、プロトレイルランナーの鏑木毅氏、石川弘樹氏や、立正大学元教授の山西哲郎氏、静岡大学教授の村越真氏らが中心となって議論を重ね、今回の発表に至ったものだ。今後は理事会を毎月開き、10月に正式な設立総会を開催する予定で、レース主催者やトレイルランナーの会員化を進め、2年後をめどに法人格を取得する考えだという。


4月27日に行なわれた「日本トレイルランナーズ協会」設立発表会であいさつする鏑木毅氏。
石川弘樹氏、山西哲郎氏、村越真氏らも出席した

 

 協会設立の趣旨については、3月に発表されたプレスリリースで次のように説明している。
「当協会は、全国のトレイルランニングを愛する有志が集まり、トレイルランニングを健全な市民スポーツとして広く普及させ、また正しく認知されるように活動を行なう団体です。
 山道を走るアウトドアスポーツ『トレイルランニング』は人気を集め、愛好者(=トレイルランナー)や各地で開かれる大会が急速に増加しています。一方で自然環境への影響やハイカーや登山者とのトラブルなどが指摘され、環境省や東京都など行政が、大会運営などのガイドラインを作る動きが出てきました。新聞などのメディアでも、トレイルランニングの隆盛に対して懸念の声があがっています。
 そこで私たちはトレイルランナー自身による全国的な組織を作り、行政やメディアに対して日本のトレイルランナーの代表として対応していくと共に、自然環境およびトレイルを共有する方々に対するマナーやルールを作り広めたいと考えました」

 このリリースにあるとおり、トレイルラン人口の急速な増加、なかでも登山経験のない人が山に入ることによるマナー欠如や遭難発生、環境省や東京都が示したレース開催指針への対応、基本的ルールを守らないレース主催者への対処、登山者・自然保護団体などとの軋轢の解消、トレイルランに正しい認識を持ってもらうためのメディア対応など、いま目の前で起きているさまざまな問題に即応できる統一組織が必要なことも明白であり、協会はまずはそちらの役目を担うことになるだろう。

 この動きの一方では、公益社団法人日本山岳協会(日山協)が「日本トレイルランニング会議」(以下、会議)を既に発足ずみだ。同会議は、トレイルランを競技スポーツの観点から組織化しようとするもので、例えばレースの統一ルールづくり、公認審判・指導者の育成、日本選手権の開催、選手登録、海外レースへの選手派遣などから着手しようとしている。


日山協が主導する「日本トレイルランニング会議」も組織固めを進めている。
2月14日に開催された全国会議の模様

 

 現在、この2つの団体が併存する形ができつつあるが、これはトレイルランを「市民スポーツ」と見るか「競技スポーツ」と見るかで、組織化へのアプローチが異なるのが大きな要因ではないだろうか。

 日山協は、トレイルランを競技スポーツと捉えるのが組織化への近道であり、愛好者全体の組織化はその次のステップだと考えているようだ。
 これは登山を例にとるとわかりやすい。登山者すべてを代表する組織は存在しない。とはいえ日山協は、国体山岳競技やスポーツクライミング大会などを主催する「競技」団体でありながら、片や日山協傘下には各都道府県山岳連盟があり、その下には社会人山岳会が加盟している、という仕組みを通じて、日山協は登山者全体の利益を代表する組織として一定の役割を果たしているのは事実だ。
 それと同じようにトレイルランも、まずは競技を実施するための組織として、日山協内の「トレイルランニング小委員会」が中心となって組織化を進めるのが最短・最善の方法と考えているわけだ。確かに競技スポーツの側面から言えば、文部科学省-スポーツ庁(今年10月創設予定)-公益社団法人日本体育協会-日山協というつながりを通じて国のスポーツ行政とスムーズな関係性を築くことも大事なポイントだろう。

 いずれにしても、トレイルランナーの利益を代表する組織はひとつであるほうが望ましい。とはいえ、両組織とも動き始めたばかりであり、まだまだ手さぐり状態だ。今後しばらくの間は、両組織それぞれが重要と考える観点から組織化を進め、両組織が一定の実効性を発揮すること、まずはそれが先決だ。そしてその後に、なんらかの形で統合をめざすのが、現実的な方向ではないだろうか。

(文=MtSN編集部)

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