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王滝村の復興を願って。日本初の「トップ選手だけ」「観戦型」のトレイルレース開催レポート

2015.05.18

●今年のゴールデンウィークは王滝村が熱かった

 その熱源は、“史上初の試み”が詰まった、出走人数わずか39名のレース。その名も「トップ オブ ザ トレイルランナー50k in JAPAN」は、本邦初!?、選ばれたトップ選手限定のエリートレースだ。おおよそ10kmのトレイルを5周回する約50kmのガチンコ勝負。しかもコース上にはいくつかの観戦ポイントが設けられ、チケットを購入した人がトップ選手の走りを間近で応援できるという、これも本邦初!?の観戦型のレースなのだ。

 と、初ものづくしの本レースには、昨年9月の御嶽山噴火で観光産業に深刻な影響が出ている王滝村の復興支援という背景がある。王滝村で数多くのレースを手掛けるパワースポーツが企画したイベント「みんな集まれ!王滝村へ」の目玉として本レースが開催されたのだ。

 レースとコースを詳しく説明しよう。開催日は5月2日。コースは、5km登って5km下るというはっきりとしたレイアウト。最初の3kmは走れる林道の上り。その後の2kmはシングルトラックの上り。下りパートもまずはスキー場セクションで、その後も走りやすいトレイルが続く。終盤1kmほどが少々テクニカルなシングルトラックだ。途中に給水や徒渉ポイントもあり、スタート/ゴール地点には補給品をデポすることができて、クルーのサポートも受けられる。パフォーマンスを追求するため空身で走るランナーも多かった。

 主なDNSは上田瑠偉、近藤敬仁、奥山聡、石川弘樹。


スタートする選手たち。須賀暁(2番)、東徹(29番)、鬼塚智徳(16番)、
小林慶太(21番)らが飛び出していった

 スタート直後より、下馬評の高かった東徹、荒木宏太、鬼塚智徳らマラソンの持ちタイムが速いスピードランナーが積極的にリードする展開。1~2分遅れて小川壮太、奥宮俊祐、大瀬和文、大杉哲也、山田琢也がパックを作る。一周約45分とキロ5分を切るハイペース。オールジャパン級の豪華メンバーだ。


1周目の終盤。徒渉やガレ場の登りが連続する区間を進む選手たち。
右から小川壮太、大杉哲也、大瀬和文

 翌周回も上位陣のラップはほぼ落ちず、2周終了時でトップの東が約1分先行、続いて2位に鬼塚、さらに約1分差の3位グループに荒木、大瀬、小川。これまたさらに1分差の6位グループに須賀暁、奥宮、山田、大杉が続く展開。


あまりの暑さに、徒渉の際、あえて滝の中を進む選手も(礒村真介選手)

 当日は会場の熱量もさることながら、気温も5月上旬の長野県とは思えない暑さ。熱中症でのDNFも出てきたり、上半身裸になるランナーの姿もチラホラ。そして3周目からレースが動く。


大瀬和文選手までもが上半身裸に!


3周目を走る平澤賢一選手

 3周目終了時のトップは変わらず東。さすがにラップは数分落ちているものの、まだまだ力強い。1分30秒差の2位に小川。ベテランの味と、この春からプロランナーになった決意が感じられる走りだ。3位には2週間後にTNF100オーストラリアというビッグレースを控える大瀬。2位と1分差だが、マイペースをキープし足取りは軽い。続いて荒木、須賀、奥宮、やや後退してしまった鬼塚がそれぞれ少しずつの差で続く。50kmレースとは思えない僅差での展開だ。

 4周目は精神的にいちばん難しい周回といわれ、トップ予想もほぼ絞られてくる。林道の上りパートでは引き続き東が快調な走りでリード。しかし足取りも呼吸も決して軽くはない。当たり前だ。トップランナーだって等しく苦しいのだ。それでもここからさらに追い込めるのがトップアスリートたる証。続く小川は足取りが軽い。東をとらえそうな勢いを感じるが、その姿はまだ視界には入っていない。少し開いて大瀬が続く。大瀬も勢いがあり、優勝争いはこの3人に絞られたようだ。


4周で争われた女子は、山之内はるか選手が優勝した

「最終ラップ突入時で東さんと1分差ということはわかっていました。でも、時間差を聞いたところで、ペースを落とさないことだけで精一杯。自分をいかにコントロールするかの経験が問われたような気がします。上りの最終局面で東さんに追いつき、なんとかかわして得意の下りパートへ。脚は痙攣しっぱなしでした」と小川。「序盤から理想的な展開で抜け出し、逃げ切れるかと思いましたが、5周目からはさすがにヘロヘロに。頂上手前で追い抜かれたときは全く反応できませんでした」と東。


家族とともにトップでゴールした小川壮太選手。プロ宣言後、最初のレースを制覇した


小川選手に遅れることわずか41秒、東徹選手が2位でゴール。
レースを主催した滝川次郎さんと小川選手が迎えた

 結果。1位、小川壮太。4:01:05。2位、東徹。4:01:46。差しきった小川は見事、かわされても僅差で粘りきった東もまた見事。史上初の観戦型レースの期待を裏切らない、熱い熱いバトルとなった。3位は4:09:39で大瀬和文。4:09:48と僅差の4位に鬼塚智徳。粘りの走りで挽回し、ダークホースの名に恥じぬゴールだった。5位はベテランの味を見せた奥宮俊祐、4:11:10。制限時間内の5周完走は21名のみという激しいレースはこうして幕を閉じた。


左から、優勝した小川壮太、3位の大瀬和文、2位の東徹、4位の鬼塚智徳の各選手

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