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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.10 2014年の勇者たち(5)米田英昭

2015.09.16

<TJARへの挑戦>
 
 TJAR2014に向けては「選考規定に書いてあることを一通りクリアするため」トレーニングを重ねた。
 マラソンもTJARの参加要件に入っていたことで取り組み始めた。TJAR前年には、北アルプスのコースを3泊かけて試走した。日頃のトレーニングは、平日は仕事から帰宅してから12kmほどのラン。月間走行距離は土日も含めると300kmほど。プラスアルファで補強運動も行なった。夏場はほぼ毎週末、1泊の山行。土曜日朝に出て、夜はビバークを兼ねて山中で泊まり、日曜の朝に帰ってくる、というスタイル。冬場は土日5時間の練習、近場の栃木の古賀志山に行っていた。「あまり移動に時間をかけたくない」というのがその理由だ。
 軽い装備での山行、ビバークにも慣れていった。
「最初は、TJARのために、という感じだったんですけど、軽い装備で動けるっておもしろいなと思って、だんだん楽しくなりました。基本的に一人で行きます。誰かとやろうとすると他の人の同意を得ないといけない、とか。その時間がもったいなかったりするので…」

 予選会、本戦に向けて工夫したことの一つには、山に行くときはメモ帳を常にポケットに携帯し、記録や気づいたことをすぐにメモできるようにしていた。
「山の友達が、何か気づいた時にすぐ取り出してメモしていたのを参考にしました。山に行くときは、あらかじめコースタイムを書いておいて、実際にかかった時間と比較しています。コースタイムの50%を目標にして行動しています。短い区間ごとに目標達成を確認できるので、楽しみながら歩けますよ。あとで見直して参考にしたりしています。大会前、夏休みの受験生と並んで半日図書館に篭って、地図を広げながら全行程をメモ帳に書き込むのがとても大変でした」
 また、ストックシェルターを3分以内で立てられるように練習した。早く立てられる自信がビバークの自信にもなると思ったからだ。


普段から山に行くときはメモ帳を携帯している。TJAR2014でもこまめに行動を記録していた(写真=藤巻 翔)

 

 本戦に向け、メンタル面では「野球の野村克也監督の本や、監督の薦める安岡正篤氏の『活学』を読んだのが、自分を振り返る時に役に立った」と米田。特に心に留めているのは、野村監督の本の中の一文「人間的成長なくして技術的進歩無し」――。

 

<TJAR2014、「レースを楽しむリズムができた」>

 迎えたTJAR2014、史上最悪といわれるほどの悪天候に苦しめられたが、米田は、序盤から気負うことなく、レースを楽しんでいた。
 初日、台風直撃のなか、一の越山荘からは、朽見太朗、中村雅美、柏木寛之とともに進んだ。ザラメのような雨が頬に刺さるが、強風の時には岩陰でやりすごしながら進んだ。このときも、米田は状況を楽しんでいた。
「女性1人に男性3人、しかも中村さん(2013年アドベンチャーレース世界選手権コスタリカ大会日本代表メンバー)がいらっしゃった、なんだかイーストウィンド(日本を代表するアドベンチャーレースチーム)みたいだなぁと。自分の中では『なんちゃってイーストウィンドごっこ』をしていました。中村さんもダブル田中(正人、陽希)さんの物まねとかやってくれて、なごみました」


風雨の稜線を進む(前から)朽見、中村、柏木、米田。気分はチーム・イーストウインド!?(写真=佐藤籤岳

 

 ビバークはスゴ乗越小屋にて。シェルター内は水浸し、斜面を利用して足を高くして寝ていたら、頭部周辺までが水浸しになっていた。だが、ここでも気持ちは余裕があった。
「台風直撃だし、(レース中の)生活のリズムがいまひとつわからなかったのですが、避難集合したスゴの小屋で『お体中』(お休み中の書き間違い?)の張り紙を見つけた時に笑ってしまって、『あ、まだ余裕あるな、こんな感じなら楽しく行けそう』と思えてリズムが出てきました」
 練習では、台風の木曽駒ヶ岳でビバークした経験があった。水が5㎝くらい浸かっているところで寝た経験があったため、スゴ乗越でも慌てることはなかった。

 


米田にとって「序盤のターニングポイントになった」スゴ乗越
小屋での貼り紙(小屋の名誉のために載せていいのでしょうか…by米田)

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