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距離300km、累積標高差2万7000mを踏破して完走! ~チーム「TJAR2014」、PTL参戦記 vol.3~

2015.09.09

 8月24日から31日にヨーロッパアルプス・モンブラン周辺で開催された、世界最高峰のトレイルランニングイベント、Ultra-Trail Du Mont-Blanc(通称UTMB)。8月24日17時半(日本時間の25日0時半)にスタートしたPTL (La Petite Trotte à Léon)に出場した、チーム「TJAR2014」(雨宮浩樹、米田英昭、佐幸直也)は、8月31日の午前(日本時間の夕方)、137時間31分32秒でゴール! 日本人チームとして史上2組目となる完走を果たしました。途中、主催者側から関門時間の延長やコース短縮の措置がとられたそうで、それでも参加100チーム中、完走したのは39チームと完走率50%を大きく下回ったことからも、レースの厳しさがうかがえます。そしてノーマルルートを完走したのはわずか17チーム、チーム「TJAR2014」はノーマルルート完走チーム中、8番目のゴール(順位づけはなし)という素晴らしい結果でした。
 短期集中連載・チーム「TJAR2014」のPTL参戦手記、第3回は、レースを終えたばかりの3選手によるレポートを、PTLの「コース」「ルール」、さらに「ゴール後の感想」という3つのカテゴリに分けてお送りします。

 


フィニッシュ直後のチーム「TJAR2014」。左から雨宮浩樹、米田英昭、佐幸直也

 

                       ***
【PTLのコースについて】
 PTLのコースは距離300km、D+27,000m。比較としてTJARは距離420km、D+26,000m、うちロードが約半分だ。 PTLのほうが一度に1000m超の大きな登りが何回も出てくる。TJARの場合は、北ア・中ア・南アの各山脈に一度登ってしまえば、あとは1000mもの大きなアップダウンは出てこない。ここは好き嫌いが分かれるところだろう。ただし、PTLの山岳パートはその2割程度がルートファインディングが必要な、日本でいう破線ルート(バリエーションルート)に近く、山岳パートの難度は登山道がコースのTJARより明らかに上だ。踏み跡すらわからないルートや、浮き石だらけのガレ場、鎖場などを通過する必要があった。夜間に初見のバリエーションルートを進む技術と勇気が必要だ。補給可能ポイントもTJARより少ない印象だ。反面、TJARの走らなければならないロード区間(特に南ア以降)での消耗はかなりのものがあるので、コース全体の難度としては甲乙つけがたい印象だ。
 景色については森林限界が低いこともあり、開放的な丘陵地や山々を旅できて、総じてよかった。アルプスの山あいのかわいい村を通り抜けるのも旅情をそそる。(byアマッチ)

 


レース序盤、オーバーハングの巻き道を進む


 コースは自分が考えていたものとはまったく別もので、 いくつもの山をバリエーションルートでつなぎ、越えていくものだった。 夜間走行時には迷うことも多々あり、ナビゲーション力が大事だと痛感した。 また山小屋と山小屋の間隔が6~10時間程度あるので、補給が思った以上に必要であった。(byサコー)

 コースは非常に壮大だった。これがヨーロッパアルプスか!と美しさは文句なし。だが、全体を通して難度高し。距離を稼ぐための平坦な部分はほとんどなし、道路標識もなし……。
 走りづらい登山道か、もしくはそれよりも荒れている、落石しやすい箇所が多々あった。落石を起こさないベーシックな技術・配慮も必要。牛や羊のフンがそこここにあり、注意力散漫だと踏んでしまう。それにも気を使った。いずれにしても一歩一歩に注意力が要求されるということ。
 眼下は崖、という所がほぼ毎日であり、下手したら死ぬ可能性もあった。地図だけでは細かいニュアンスがとらえられず、GPSがないとかなり難しい。TJARより距離が100km短い分、一つ一つの登り下りが厳しい。すれ違う登山者を見るにつけ、いちいちレベルが高いと思った。周りはベテランレーサーが多く、僕らはヒヨっこの部類。UTMBが完走できたから、即、出走・完走できるというのともまた違うと感じた(自分はUTMBには出てませんが……)。(byトニー)



レース2日目、最高点から下るトニー

 


牛の群れに突入。フンにも注意…

 

【PTLのルールについて】
 PTLのルールとしては、24時間利用可能なレストポイントや、3カ所でドロップバッグを受け取れるなど非常に恵まれており、TJARとは大きく異なる。レストポイントではベッドで仮眠できることも大きい。 存分に食べてベッドで寝たときの回復力は、(TJARで)限られた食事をとってツエルトでビバークしたときとはまるで違う。また、コース変更や関門時間変更がフレキシブルで、完走チームを多く出したいという主催者の意図が感じられた。 完全自己完結型でルートが決まっているTJARと比較すると、ルール的には優しいと言えるだろう。前述のバリエーションルートの件があるため、チーム戦となるのは必須だと思う。順位づけなしというのも、安全面から納得できる。(byアマッチ)


4日目、踏み跡のない草原を下る

 

 ルールは、関門を制限時間内に通過する以外は気になる点もなく、 補給および寝場所も問題なかった。(byサコー)

 大人の対応が求められるルールだと思う。コースや制限時間は状況に応じて変更されるので柔軟性があるとも言える。変更に一喜一憂しないこと。順位があるわけではないので、ルールに準じて自分がこのレースに対してどう納得できるゴールをするかが大切だと思う。宿泊所は快適だし、食事は24時間オープン、そこそこうまかったので心配なかった。(byトニー)

 

【ゴール後の感想】 
 素晴らしいスタッフと仲間、そして晴天に恵まれながらヨーロッパアルプスを旅できて、本当に素晴らしい経験となった。この達成感はTJARにも劣らないものだろう。 超一流選手でもない自分がUTMBの表彰台に立てるという喜びもあった。苦楽を共にした仲間達とみんなで表彰台に上がるというのは格別だ。正直に言うと、最後の一日のコースには、難しさからこてんぱんにやっつけられた。ほとんど走れなかったこともあって身体的には楽だったので、もっとやれたんじゃないかという感もある。(byアマッチ)

 ゴール後は表彰台に上がらせていただき、感動した。この瞬間のために300kmを走ってきたのだと思い、嬉しくて仲間と抱き合った。また携帯を開くと、お祝い及び応援メッセージがかなり入っていて泣きそうになった。応援ほんとうにありがとうございました。(byサコー)

 


浮き石だらけのガレ場を進む

 


眼下は崖! 気の抜けない登り

 

 敗北感と安堵と幸福感――。最後の夜間区間、ブルエを回避するロードコースになっていたら円満で終われていたかもしれない。自分の中に何ら引っかかりもなく終わっていたかもしれない。しかし、真夜中のブルエに突入したおかげで自分の弱さが全部暴かれてしまった。詳しいことは別の機会に譲るとするが、とにかく、自分には心技体のどれもがまだまだ足りないと痛感させられた。夜が明けて、平地に降りてきてゴールした瞬間は、ほっとした、というのが正直な感想だった。
 PTLの閉会セレモニーを待つ間、共に走った他国のレーサー達と再会を祝すことができた。つたない英語、もしくは共通言語はなくともお互いの健闘と無事を抱き合って喜ぶことができた。ここで最高の幸福感を味わうことができた。
 レース中は、「もう二度と出ない、もう山をやめよう」とまで思っていたが、「鍛え直して、また打ちのめされても、もう一度といわず何度でも、ここに戻って来たい」と、ステージ上からカウベルのこだまの中で思うのでありました。
 応援してくださった皆様、スタッフの皆様、チームメイトのアマッチ、サコさん、ともに走ったみんなに感謝します。(byトニー)


表彰式での一場面。歓喜の瞬間に!

 

※チーム「TJAR2014」、PTL参戦記は次回(vol.4)で最終回の予定です。お楽しみ!

 

■PTL ライブトレイル
http://utmb.livetrail.net/coureur.php?rech=20960
※「TJAR2014」チームのビブナンバーは20960です。
 

●連載バックナンバー
チーム「TJAR2014」、PTL参戦記 vol.1
https://www.mtsn.jp/journal/detail.php?id=421
チーム「TJAR2014」、PTL参戦記 vol.2
http://www.mtsn.jp/journal/detail.php?id=424

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