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第23回 日本山岳耐久レース(長谷川恒男CUP)、レースレポート Vol.2 男子トップ編(2)

2015.11.19

 10月31日(土)~11月1日(日)に行なわれた、第23回 日本山岳耐久レース(長谷川恒男CUP)。レースレポートVol.2では、男子2位以下の上位選手をピックアップします。

取材・文=松田珠子 写真=山田慎一郎・一瀬圭介・宮崎英樹・下中順平/MtSN


■2位の三浦裕一、「予想以上の結果にびっくり。嬉しい」

 奥宮俊祐のゴールから3分後、2位でフィニッシュゲートに飛び込んできたのは、奥宮と同じモントレイルに所属する三浦裕一だった。
「トップ10入りをめざしていた。予想以上の結果でびっくり。めちゃくちゃ嬉しいです」
 ゴール直後、奥宮と握手をかわすと、笑顔で喜びを語った。
 


チームメイトでワンツーフィニッシュを飾り、喜び合う奥宮と三浦(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

 現在28歳の三浦は、中学時代から大学1年まで陸上部に所属。国学院大学時代には箱根駅伝をめざしていたが、ケガで予選会の出場もかなわず。大学2年以降は市民ランナーとして走り続け、大学3年時の初マラソンでは2時間24分台の記録を出している(社会人になってからのフルマラソンのベストは2時間29分26秒)。
 
本格的なトレイル歴は1年ほど。横浜市在住で普段は山での練習はできないため、トレイルレースが練習がわりだという。昨年は14のレースに出場し、志賀高原マウンテントレイル(40km)、野沢トレイルフェス(28km)など5レースで優勝するなど強さを見せている。
 


スタート前の三浦裕一(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

第二関門で給水する三浦。この時点では奥山、奥宮に次いで3位だった(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

 初出場だった昨年のハセツネでは、夜間走も初めてだったというが8時間6分20秒の好記録で17位。今年は照準を合わせてきた。
「トップ10入りと、サブ8(8時間切り)いければなと思っていた」
 今まで出たレースでは、ハセツネが最長距離。「走りやすいのは30~40kmのレース。100マイルはまだ未知の世界ですね」と三浦。今後の目標を訊くと「ハセツネは、今回のタイムを縮めたい。ほかのレースは、楽しく走って結果がついてくれば」と語ってくれた。
「怖いもの知らずなので、突っ込んでいって後半バテるパターンが多い(笑)」というものの、昨年、今年とハセツネをきっちり走り切り、ミドルレースの強さを見せた。今後のさらなる飛躍が楽しみだ(三浦祐一のMSNマイページはこちら)。



三浦は本人も予想しなかった好順位でゴールした(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

■奥山 聡は3位、「練習不足だった。悔しい」

 今シーズンはケガもなく順調だったといい、レース前は絶好調宣言も出ていた奥山 聡は3位。優勝候補の本命と見られ、三頭山を過ぎてトップに立ったときは、このままいけるのでは、と本人も思ったという。


スタート前の奥山(写真=山田慎一郎/MtSN)


「昨年は、途中でトップ(上田)を見失ってしまって追えなかった。だから今年は見失わないように、前の背中が見える位置で走ろうと。三頭山の手前で奥宮さんを抜いて、下ったら、菊嶋さんと地下さんがいて、行くしかない、と」


第二関門にトップで現われたのは奥山だった(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

第二関門と第三関門の間で奥宮、三浦に抜かれて3位に(写真=一瀬圭介/MtSN)

 

 トップに立ってから第二関門の月夜見第二駐車場までは、後ろと差を広げようと「頑張った」という。
「第二関門を過ぎて、ちょっと休もうかなと(ペースを)落とそうとしたら、後ろから誰かが来て。菊嶋さんか地下さんか…と思ったら、奥宮さん。びっくりしましたね。足をためてたか…と(笑)」
 第二関門までのペースアップで、足に疲れがきていた。奥宮に先行を許し、その後、三浦に追いつかれる。初めて経験するレースの駆け引きで「消耗してしまった」と奥山。2位争いは、陸上歴の長い三浦に軍配が上がった。
「体調はすごくよかった。レース前の5000mタイムトライアルでも、昨年の同じ時期よりタイムがよかった。ただ、志賀高原エクストリームトライアングル(優勝:レースリザルトはこちら)以降、山での練習があまりできていなかった。走り込みが不足していたなと。練習不足ですね。悔しいです」
 


3年連続で3位以内と実績は十分。来年こそは頂点を狙えるか?(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

 初出場の一昨年は3位、昨年2位ときて今回は3位。安定感と強さでは群を抜いている。「過去の自分に勝ちたい」と話す奥山。まずは、昨年の自身の記録・7時間22分2秒を上回ることが目標だ。その先に、表彰台の一番高い場所、さらには7時間という壁も見えてくると睨んでいる。
 

■ダブル加藤が4位、5位

 4位でゴールしたのは、加藤淳一。両手を掲げてゴールすると、少し涙ぐんでいるように見えた。「泣きそうでした。危なかったです(笑)。一昨年、昨年とリタイアして、長い距離の適性がないんじゃないかと周囲にも言われていたので。今年は走り切れて、本当によかった」。言葉に実感がこもった。
 一昨年、昨年のリタイアの原因は「飛ばしすぎと、寒さにやられた」と自己分析する。今年は序盤から抑えて入り「だいぶ守りのレースをしました」。さらには、過去2大会、寒さで体が動かなくなった反省を踏まえ、長袖Tシャツにロングタイツというスタイルで挑んだ。
「寒さに弱いんです。(長袖、ロングタイツは)自分のなかでもチャレンジでした。(厚着で)笑われましたけど、快適でした。ザックには防寒具もたくさん入れて(笑)。あとはジェルが受け付けなくなったとき用に塩おにぎりも持ちました」
 途中、転んだ拍子にザックの中でおにぎりが破裂するという、トップ選手らしからぬ(!?)ハプニングもあったが、過去の苦い経験を活かし、「目標にしていた8時間半」達成につなげた。
 今年はバーティカルレースを主戦場にしてきた。来シーズンの目標は、「国内レースでは、富士登山競走とSTY。あとはキリアンも出場する山岳スキー競技の世界選手権に出たい。来年行けたらそこで勝負したい」。
 


御岳神社の参道を4位で駆け抜ける加藤淳一(写真=一瀬圭介/MtSN)
 

ゴール後の加藤淳一(左)と加藤昌文(写真=山田慎一郎/MtSN)


 5位の加藤晶文も、後半に追い上げて上位に食い込んだ。ハセツネは4回目。昨年は8時間3分41秒の好記録で13位。今年はさらに上をめざしたが、序盤は調子が上がらなかったという。
「(第二関門の)月夜見まで苦痛の連続で。もう上位は狙えないかなと思っていた」
 第一関門は14位、第二関門は10位で通過。「月夜見を過ぎて、だんだん体が動いてきて、前を追っていたらどんどんみんなが落ちてきた。あきらめないでよかったです」。
 粘りの走りで5位入賞を果たしたが、7時間台を視野に入れていただけに「もう少し序盤から動いていれば……」と悔しさものぞかせた。



5位は加藤昌文。第三関門は加藤淳一に34秒遅れの5位(写真=一瀬圭介/MtSN)
 

ゴール後はずっと笑顔だった加藤昌文(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

■注目の地下翔太は、6位ながら「不完全燃焼」。ベテラン沈 在徳が9位と存在感示す

 どんな走りを見せてくれるのか注目された初出場の地下(じげ)翔太は、6位でゴール。序盤から先頭集団につき、一時はトップに立つ場面もあったものの、初めて経験する夜間走、特にトレイルの下りに苦戦した。
「登りはイケるな、と思いました。でも下りが全然走れなくて。何回転んだかわかりません。自分、トレイルに向いていないかも……」
 ゴール後、自嘲気味にこう語った地下。夜間のコース上は、ガスが多く視界が不明瞭だったという。転倒したダメージ(痛み)はあるものの、思うようにスピードを出せなかった分、「全然疲れていない」というから驚かされる。
 冬はマラソンに取り組み、来シーズンは「トレイルにもまた挑戦してみたい」と地下。トレイルでの走りを習得すれば、どれだけ強くなるのか、伸びしろは未知数だ。



ゴール直後は東徹に「トレイルは向いてないかも」と話していた地下だが、
MtSNとしては来年以降もぜひトレイルランを続けてほしい(写真=山田慎一郎/MtSN)
 

 7位にはハセツネ2回目の伊藤健太。途中、ハンガーノックに陥ったというが、粘り強い走りで昨年(8時間44分41秒・24位)より記録、順位ともに大幅にアップ。終盤にはコースアウトして10分ほどロスしたといい、ゴール後は「もったいなかった」と苦笑い。
 一昨年からトレイルランに取り組み、この1年で多くのレースで経験を積んできた。「トレラン2年目の今年は経験の年。来年は70km前後のレースで勝負したい」と意気込みを語った伊藤健太のMtSNマイページはこちら)。


 


ゴール直後の伊藤健太(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

 今年のスカイランナー・ジャパン・シリーズ総合優勝を果たした牛田美樹が8位。昨年(10位)に続いてのベスト10入りを果たした(牛田のMtSNマイページはこちら)。



短距離から中距離まで、幅広いユーティリティを示した牛田(写真=一瀬圭介/MtSN)
 

8位でゴールした牛田(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

 2006年に優勝するなどハセツネではおなじみ、韓国の沈 在徳が9位。ベテランの存在感を見せた。
 


沈 在徳のゴールシーン(写真=山田慎一郎/MtSN)

 

 今年7月のマウンテントレイル in 野沢温泉65kmを制している牧野公則が、終始10位前後につける安定したレース運びで10位に入った(牧野公則のMtSNマイページはこちら)。


スタート前に、丹羽 薫(左)、齋藤美紀(右)と写真に収まる牧野(写真=一瀬圭介/MtSN)


 優勝候補の一角だった秋元祐介は、右脚の腸脛靭帯の痛みにより鞘口峠でリタイア。「目標としていた大会なので悔しい。来年、気持ちも新たに頑張りたい」と再起を誓った(秋元祐介のMtSNマイページはこちら


22歳と若い秋元。来年以降も活躍が期待される(写真=宮崎英樹/MtSN)


■男子総合上位の成績
1位   奥宮俊祐    7:40:31
2位   三浦裕一    7:47:15
3位   奥山 聡      7:53:11
4位   加藤淳一    8:04:21
5位   加藤昌文    8:04:45
6位   地下翔太    8:06:02
7位   伊藤健太    8:08:18
8位   牛田美樹    8:11:58
9位   沈 在徳      8:16:45
10位  牧野公則   8:19:25

 

※連載バックナンバーはこちら

※過去3年分の日本山岳耐久レース、リザルトはこちら

 

 

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