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[現地レポート:YUKON ARCTIC ULTRA 2016]第1回=レース直前情報

2016.02.02

取材・文=岡部美穂(アドベンチャーライター)

 Yukon Arctic Ultraとは、MTB、クロスカントリースキー、foot(ランニング)から1種目を選び、ゴールまでの速さを競うノンストップサバイバルレースだ。距離は42km、100マイル(160km)、300マイル(480km)、430マイル(約700km)があるが、最長距離の430マイルは隔年開催で、今年は300マイルが最長距離となる。

 このレースの300マイルの部に、日本から樺澤秀近選手が出場。アドベンチャーライターの岡部美穂さんがスノーモービルで追いかけながら取材、現地から生レポートをお届けしてもらう。レースは2月4日10時30分(現地時間)にスタートする。
 


昨年大会の様子。ソリとハーネスを留めるピンを紛失したことに気づくが、
応急措置で乗り切り、何事もなかったように元気に日の丸を振る樺澤さん

 

ユーコン・アークティック・ウルトラとは?
 世界的に有名な犬ぞりレース「ユーコン・クエスト(Yukon Quest)」の終了後に開催されるノンストップサバイバルレース。キャッチフレーズは「The world's coldest and toughest ultra!」(世界で最も寒くてタフなウルトラレース)。水以外の全装備をソリに乗せて、凍結したユーコン川の上や周辺を北に向かって引きながら進む。コースにはマーキングがされているが、新雪が多かったり吹雪の時には見えにくくなる。GPSの使用はOK。ステージレースではないため、睡眠をとるタイミングは各自が判断する。用意したビビィバッグ(必須装備ではない)等を用い、シュラフ(必須装備:ダウン1300g以上)にくるまって眠る。

 ランニングレースの場合、ソリに全荷物(約20kg前後)を積み、ハーネスで体に固定して、クリスマスのトナカイならぬ人間トナカイ状態で、ストック両手に北へ北へと突き進むのだ。

 

名称 Yukon Arctic Ultra 2016
公式サイト http://www.arcticultra.de/en/
開催場所 カナダ/ホワイトホース(Whitehorse)
日時 2016年2月4日10時30分スタート、/8~ (430miles は制限時間13日間)
種目 フット、クロスカントリースキー、バイク
距離:42km、100miles(160km)、300miles(480km)、430miles(約700km:隔年開催で今年はない)
気温:最低気温-50度(-25度でも風が強いととても寒い)
参加者:2013年は76人
完走率:430milesは16%、300milesは33%
CP(チェックポイント):計8カ所。1つ目は42km地点だが、その後は50~70kmごと。後半3カ所のCPではバッグをデポジットでき、屋内で睡眠をとることができる。
 


ソリを引いて進む樺澤さん

 

 樺澤秀近選手は2015年、日本人として初めて430miles(約700km)に出場し、その模様はNHK BS1『GREAT RACE』で放映された。しかし約70kmでリタイヤ。リタイヤ原因のひとつにVapor Barrier(自分の体から発散した蒸気が、超低温の外気に冷やされ凍り付いてしまうことへの備え。超高山でも同様の現象があると、欧米のアウトドアブランドではその対策が進んでいるという)の情報・体験が不足していたことが考えられる。

 樺澤選手の感想は、「寒さは恐怖だった。-30℃以下では素肌を外気にさらすことができない。買い物に行くにも、フェイスマスクをしていないと顔が痛くてカフェに避難したくなる」「グローブを外して作業するのに、時間制限がある。-30℃以下だと1~2分で手が痛くなるので、いっぺんに複数の作業ができない」「寒さ対策で意外に効果があったのが、ファー。フェイクファーでは凍り付くといわれ、タヌキのファーを付けたところ、まつげの氷が解けた!」

 樺澤選手は昨年の反省を生かし、今年はVapor Barrierの商品を個人輸入して大会に臨むという。さて、今年のレースはいかに? 自身も極北のレースに出場した経験をもつアドベンチャーライター・岡部が取材する。

 樺澤選手が出場する300マイルの場合、スタート緯度約60°のホワイトホースからゴールのペリークロッシングまで、8カ所のチェックポイント(CP)がある。CPではお湯と食事の提供があるが、原則建物の中には入れず、宿泊できるCPは後半の5カ所。おのおの約60km離れており、よほどの早足でない限り途中でのビバークは必至だ。場合によっては飲み水や食事作りのため雪を融かす作業も必要だ。現在の体力・疲労とCPまでの距離を天秤にかけて、進むか休むかの冷静な判断力が求められる。しかも2月のホワイトホースの平均気温は-20℃。郊外ではさらに10℃は低いといわれる。ひとたび寒波が来れば-40~50℃にもなり、生命の危険さえある環境下での過酷なレース。日本人初の完走なるか、今後のレース展開から目が離せない!

 


Dog Grave Lake までのトレイル。焚き火で濡れた靴下を乾かした付近

※第2回に続く・・・・

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