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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.22 2014年の勇者たち (17)中村雅美

2016.04.04

<フルマラソンでのサブスリー、イーストウインドへの加入>

 08年、初マラソンとなった第2回東京マラソン。中村は、“泥棒”の仮装をして臨んだ。
 「初めてで、42kmを走る自信がなかったので、仮装したら応援してもらえるかなと(笑)」
 “泥棒”にしたのは「走りやすい恰好と、走る(逃げる)イメージで」と中村。走る前には、口のまわりを黒く塗るという徹底ぶりだった。
 スタート前には新聞社やテレビの取材も受けたという。狙いどおり、レース中は沿道からは「ドロボー、頑張れ~」「ドロボー、逃げろ!」等、多くの声をかけられたという。記録は4時間8分だった。
 「楽しくて、調子に乗って走った感じですね。気がついたら、その記録でゴールしていました。仮装も楽しくて、かなりはまって、その後、しばらく仮装して走っていました」
​ 1年ほどでフルマラソンの記録は3時間18分まで縮んだ。国内の女子国際マラソンの参加標準記録(3時間15分)目前の記録となり、「頑張れば、私も国際マラソンに出られるかな」と、仮装でのマラソンを卒業した。
​ そして10年には参加標準タイムを切り、大阪国際女子マラソンに出場。
 「記録がよくなるとおもしろくなってきて」さらに記録を短縮した。13年3月、名古屋ウィメンズマラソンで2時間58分53秒、サブスリー(3時間切り)を果たした。これが50歳のときというから驚かされる。
 「基本は一人で練習していました。うちの近くに江戸川があるので、ひたすら長い距離を走るのが中心でした」

 気がつけば、高校時代、いやになってやめたはずの走ることに、20年以上のブランクを経て、再び熱中していた。
 「高校時代は、自分のためというより顧問の先生に言われて走っていた感じ。記録が出てもあまり嬉しさは感じなかった。自分から走り始めてからは、エントリーも練習もレースも自分の意志。高校のときに嫌いだったタイムだけで判断されることも、自分の一部分という気がして好きになりました」

 


13年、イーストウインドのトレーニング風景。MTBを担いで斜面を登る(写真提供=イーストウインドプロダクション)

 

 冬はマラソン、夏はトレイルラン、さらにはMTB、アドベンチャーレースにも参加していた中村に、13年6月、大きなチャレンジが舞い込んだ。田中正人率いるチーム・イーストウインドの女性メンバーに選出されたのだ。「中村雅美」の名がマウンテンスポーツ関係者に広く知られたきっかけにもなった。
 「公募がかかっていたのは知っていたけど、恐れ多くて最初は気にしていなかったんです。でも夫から『やってみれば?』と言われて、受けるだけでもやってみようかなと」
​ イーストウインドに加入し、11月のアドベンチャーレース世界選手権コスタリカ大会に向け、数カ月にわたり、週末のたびに群馬県みなかみ町に通うという生活が始まった。
 「トレーニングはとても厳しくて、つらかったです」
​ X-adventure(レース)のコース試走では、熊笹の密集した藪を一晩中漕いだり、同じくMTBで藪漕ぎしたり、ラフティングの再乗艇ができず、ずっと川の中に浸かっていてぎっくり腰になったこともあったという。

 厳しいトレーニングに耐え、挑んだコスタリカ大会(総距離約820km)。最後のMTBセクション、ゴールまで残り7kmという地点で、中村は転倒、頭を強く打ち、救急車で運ばれるという事態となった。
 「覚えていないんですけど、レース終盤で、あまり寝ていない状態だったので、たぶん居眠り運転だったと思う。私の嫌いなガレた道が続いていて、ちょうど下り坂で勢いもついていたと思います。ヘルメットが壊れちゃっていたので相当(の衝撃)だったみたいですね」
 一時は意識不明の事態となり、コスタリカの病院での診断は、脳挫傷と、顔の一部の骨折――。
 「頭を打って、目を司るところに影響して目がチカチカして……。顔の骨折はそこまでひどくなかったです。疲労がすごくつらかった。病院では疲れすぎて寝ていた感じです」
​ コスタリカの病院で1カ月入院し、日本の病院に転院、さらに2週間入院する重傷だった。しばらくは目の異変やめまいが続いていた。

 そんな状況に陥りながらも、中村は翌14年、再びアドベンチャーレースに挑むことを決めた。日本を代表するトレイルランナーの間瀬ちがや、今泉奈緒美と女性メンバーだけで組み、ニュージーランドのレースに出場することになったのだ。
 「アドベンチャーレースはメンバーによって全然雰囲気が変わるので、女性だけで一度出てみたいなと」
​ しかし、中村がスタートラインに立つことは叶わなかった。練習中にMTBで落車し、鎖骨を骨折。代理メンバーにその座を譲ることになった。
 「あれ以降、自転車がトラウマになってほとんど乗っていないです」

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