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連載「TJAR2014 30人の勇者たち」Vol.33 2014年の勇者たち (28)飯島浩

2016.07.27

<初挑戦の04年大会>

 飯島は、04年大会をめざすことを決めた。この頃、トレイルランにはまっていた飯島だが、MTBの経験もあることから、レースを通じて顔見知りになっていた間瀬ちがやから「アドベンチャーレースで強いチームを組みたいから、一緒にやろう」と誘いを受ける。そこから、国内のアドベンチャーレースに出場するようになった。
 「チームのメンバーは、自分と間瀬さんと塚田(聖次)さん。ちょうど、3人ともTJARにも興味を持って、03~04年は、TJARとアドベンチャーレースの練習をしていました」
​ 何度か中央アルプスや南アルプスのコースを辿ってみたが「やればやるほど、知れば知るほど完走できる気がしなかった」と振り返る。
 「連日、コースタイム20~30時間のコースを走る訳ですよ。もうぐったりです。例えるならハセツネ走り終わってご飯食べて一息ついたらさあもう一周行こうか! という感じ。これを毎日なんて……無理(笑)。できる気がしないまま、スタートを迎えました」
 そして04年のTJARに3人とも出場、完走を果たした(この年、出場者8名、完走6名)。
 04年大会は、すでに国内外のアドベンチャーレースで活躍していた田中正人が、6日間2時間0分で優勝。この年を振り返って、飯島は次のように語る。
 「未知のレースで、とにかく楽しかった。駒井(研二)さん、岩瀬さん、間瀬さん……みんなレベルが近くて、前後しながら進んでいました。レースとはいえ、和気あいあいとした雰囲気で。でもそのうち、自分の体がおかしくなってくるんです。当時は、体がむくむこととか知らなくて、いつのまにか体がパンパンになっていて、びっくりした。手の関節のしわが消えるしグーができない。足もくるぶしや膝のしわもなくなって。顔もパンパン。体全体が熱をもって重いし、一回シューズを脱ぐと足が膨らむんです。さっき履いていたシューズに足が入らない!『何だこれ! いったい何が起きている!』と……。中盤以降は足の裏が痛かった。気づいたら両足にマメができて、最後までそれを引きずっていた。疲れというより、足の痛みとの闘いでした」
 記録は7日間14時間30分だった。
 「大浜海岸に着いたときは、本当に嬉しかった。ゴールできたことも嬉しかったし、これでやっと足の痛さから解放される、と……。とにかく足が痛くて『今回だけ頑張ろう』とゴールをめざしていたので、そのときは『こんなにつらいのは、もうこの1回だけでいい』と思っていた。でも時間がたつと、『もっといい記録を出したい』と、次をめざす気になっていました」

<06、08、10年大会>

 田中とともに、飯島も運営に関わるようになった06年大会は、出場者6名、完走は間瀬、高橋香の2名だけだった。飯島は木曽駒高原新和スキー場跡でリタイア。
 「足の裏が痛くてダメでしたね。上高地から木曽駒をめざして歩いているときに、足の裏を使って母指球に力を入れる歩き方をして、早々に足を痛めてしまった」
 「このままでは終われない」と、また2年後に気持ちを向けた。

 「2回出てやっと、足の裏にいかに負担をかけずに走るにはどうしたらいいかを考えるようになった。あとは、水分をしっかりとらないとむくみがひどくなることもわかりました」
​ 08年大会は、南アルプスに入るまで順調だった。
 「仙丈ヶ岳を過ぎたあたりで、道の横の木の枝に脛をぶつけてしまった。打撲ですんだけど、そこから左足がつけなくなって一切走ることができなくなった。完走はしたけど、苦しかったですね」
 記録は7日間14時間21分。岩瀬と同着ゴールだった。後日、左足はギプス姿となった。



2008年大会の一場面(写真=藤巻 翔)


 10年大会から、飯島が実行委員会の代表となった。
 「岩瀬さんが一線から引くと言われて、次、誰が代表者になるかという話になったとき、初期の頃からいるのが、自分か田中(正人)さん。田中さんはアドベンチャーレースも忙しいし、自分しかいないかなと……」
​ 飯島にとって4度目のTJARとなった10年大会は、運営の業務にも追われ「過去最低の練習量」だったが、自身最高記録となる6日22時間22分、6位でゴール。
 「泉(直人)さんと前後することが多かったですね。後半は幻覚がひどかった。ほぼ予定どおり進み、いいイメージでゴールできた。レース中はつらいときがたくさんある。一人で孤独に山を登っているときも、携帯に応援メッセージが届くなど、リアルタイムの応援がすごく力になった」

<テレビ取材が入った12年大会>

 12年大会は、NHKの取材が入ったことで、TJARとしても大きな節目を迎えることになる。
​ TJARはもともと、岩瀬が仲間に呼びかけて始めた、いわば“草レース”。少人数、かつ「自己責任」「自己完結」の理念のもと開催していたことから、警察への登山計画書は提出していたものの、諸官庁への許可申請など渉外的なことは行なっていなかった。だが、回を追うごとに参加人数が増える中、今後大会をどう運営していくか、というのは実行委員会メンバーの間でも懸念していた事案だった。それまでは、トレイルラン愛好者や一部の登山関係者など、“知る人ぞ知る”レースだったが、NHKで放映されれば広く知られることになる。この先も継続して開催するためには、公的な許認可を得る必要がある――。スタッフ間で議論した末、「覚悟して」NHKの取材を受け入れた、という背景がある。

 飯島にとっては、出場選手中最多5度目のTJAR。10年大会よりさらに「10時間の記録短縮」をめざし、準備をしてきた。だが、運営業務、さらにはNHK取材の対応等に追われ、睡眠不足の状態でスタートすることになった。中盤までは8番手前後で進んでいたが、山岳区間を終え、自らも「最大の難所」としていた畑薙からの85kmのロードで苦しんだ。
 「30時間以上寝ていなくて、言動がおかしくなっていた。自分でも変なことを言っているのがわかるが、コントロールできなかった」
​ ストックをついてしゃがみこんだり、道端の草をむしったり……。疲労と眠気による極限状態に陥った飯島の姿は、NHK番組でも放映された。このとき、3時間の間に進んだ距離はわずか100m。この後、「行き倒れるように」道端の空き地で2時間睡眠をとったことで、体調が回復。畑薙からのロードに24時間以上をかけたが、7日間16時間53分、大浜海岸にゴールした。

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