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【連載】丹羽 薫のUTMBレースレポート第5話 ~総距離170km、累積標高差1万mに及ぶ、美しくも過酷な旅UTMB

2016.11.12

 UTMB 2016で女子8位に入賞し、日本人女性選手として初めてUTMBの表彰台に登った丹羽 薫さんによるレースポート。最終回となる第5話では、丹羽さんの予想とはちょっと違ったゴールシーン、感動の表彰式、丹羽さんの100マイルレースに対する心構えをお伝えします。

文=丹羽 薫

ついに170kmの旅の終わり、シャモニーに帰ってきた! 
 想定していた時間より1時間も遅れて、ようやく見覚えのある街、シャモニーに戻ってきました。フィニッシュ地点では、サン・ジャルべ(Saint-Gervais)から来てくれた友人、サポートクルー、TDSを完走した友人が待っていてくれました。友人も私の姿を見つけると大興奮で、みんなで一緒にゴールをめざして走りました。

 太っちょの友人が、愛犬に引っ張られながら必死に走っているけど、追いつけなくて、犬がちょこまかするから、別の友人が「犬をどけろって、邪魔だ!」って叫んでました。太っちょの友人は「犬は邪魔じゃない! 俺が邪魔なんだ! 息が上がってついていけない!」って叫び返したり。もう最後はコントかっていうぐらいのドタバタ劇。サポートしてくれた友人はなぜか後ろから、「最後は一人でゴールしろよ!」とか叫んでいるし。みんな好き勝手なことを言っているのが笑えました。私は、一人で感動をかみしめながらゴールするより、みんなとこうやってゴールしたかったのですが、まさかここまで喜劇的なゴールになろうとは!

 感動のゴールというよりも、なんだかみんなで大騒ぎしていたら気がつかないうちにゴールゲートをくぐってしまっていた、みたいな感じでした。それでも最後の赤いラインを踏みしめた瞬間の光景は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。スタートの時、涙はゴールの時に取っておこうと思っていましたが、ゴールはすごく賑やかで楽しいものでした!

 


友人たちとワイワイしながらフィニッシュ地点までラストラン

 

UTMBの表彰台に立ち、やっと実感した入賞の重み
 
結果は29時間17分41秒でフィニッシュし、UMTB女子総合8位に入賞しました。こうして私の念願のUTMBは幕を閉じ、初出場で表彰台に立つという目標が叶えられました。しかし、本当にこれは他のレースで8位になるのとは全く意味が違うということを実感したのは、ゴールしたときでなく、表彰台に立ち、そうそうたる選手たちと肩を並べ、表彰台の上から大観衆を一望したときでした。トレイルランを始めた頃、チームチョキというファンランチームを作り、友達と楽しんでいただけの頃を思い返すと、まさかこんな日が来るとは想像もしていませんでした。

 


日本人女性選手として初めてUTMBの表彰台に立った Photo by Kusaka

 

私が100マイルレースに臨むときは
 
私は決して走るのが速いわけではありませんし、特別な能力もありません。ただ、色々なことをよく考え、先入観なく自己観察を行ない、自分の能力を的確に判断することにより、その時々でベストなペース、戦略を立てていくことが結果につながっているのかもしれません。また、何かうまくいかなかったときに、原因を外的要因に求めることはしません。何かうまくいかないときは、必ずその原因は己の中にあると思っています。だから、それを改善する方法を考え、その時の状態でベストを尽くします。100マイルレースに“たられば”は持ち出してはいけないと思っています。「天気が良かったら~」とか、「脚が痛くなかったら~」など言っても、天気がよくなるわけでもなく、脚がよくなるわけでもないのです。だから、天候が悪いときや脚が痛いときはその中でベストを尽くすことだけを考え、自分自身で工夫をするようにしています。そのためにも、自分の状態を的確に把握するのはとても重要なことです。

 ただ走るのが速い人だけが上位に入るわけではなく、私のように鈍足でも表彰台に立てるところが100マイルレースのおもしろさかもしれません。そして、100マイルレース中でも世界最大規模を誇るUTMBは、運営やレースの規模、応援など、どれをとっても想像を上回る素晴らしいものでした。今回初めてUTMBに出場してみて、より多くの人にその感動と興奮を味わってもらいたいと思いました。

 

 

【丹羽 薫さんがUTMBで使用した装備】(○は必携品)

ザック○:Salomon/S-lab Sense Ultra 3L
靴:Salomonsense pro 2
ドライレイヤー:Finetrackフラッドラッシュパワーメッシュ(ブラタンクトップ)
保温着:Finetrackメリノスピンサーモ(ジップネック) ※使用せず
半袖シャツ:SalomonS-Lab Exo Zip Tee + Finetrackラピッドトレイルアームカバー
ノースリーブ:SalomonS-Lab Exo Tank
タイツ:SalomonWomen’s Elevate 3/4 タイツ ※使用せず
ランスカ:SalomonS-Lab Sense Skort
靴下:X-SocksRUNENERGY
頭:バフ、薄手のビーニー ※使用せず
手袋:Finetrackラピッドラッシュグローブ、エバーブレストレイルグローブ
ウィンドブレーカー:SalomonFast Wing Jacket
レインウェア:SalomonBonatti WP Jacket、The North Faceストライクランニングパンツ ※使用せず
ヘッドランプ:PetzlNAO2(12時間設定)、お腹ライト○:Ultraspire/Lumen600
携帯カップSalomon
キッチンタイマー1個
フラスク:Salomon(水用とジェル用)
ファーストエイドキット
エマージェンシーシート
ホイッスル
テーピングテープ(6cm×1m)
トレッキングポール:Runblur/RS-98

 

丹羽 薫さんがUTMBで使用した行動食など
ジェル24本 (予定数)
グミ:計5袋 (予定数)
バー:計5本 (予定数)
梅干し
サプリメント(ジョミ×16本、アリスト/Medalist 5500×2本、ビタミン剤・鉄剤・カルシウム錠)
水(青春スポーツ/足ツーRUNを溶かして使用)
オルガニック
大塚製薬/OS-1
おにぎりせんべい

 

● UTMB 2016 Women Result

【連載】丹羽 薫のUTMBレースレポート 第1

◆【連載】丹羽 薫のUTMBレースレポート 第2話

【連載】丹羽 薫のUTMBレースレポート 第3話

【連載】丹羽 薫のUTMBレースレポート 第4話

 

丹羽 薫(にわ・かおり) 
三重県で生まれ、岡山で育つ。高知での大学時代はヨットに明け暮れ、卒業後はオーストラリアへ。念願だった馬の調教などの仕事に携わる。帰国後は神戸に住み、六甲山で犬の散歩をしながらボルダリングやスキーに熱中。結婚して京都に引っ越してからトレイルランニングと出会い、元々山やキャンプなどのアウトドアが好きだったのもあり、すっかりはまる。じつは結構ゲーマーだったり、ピアノも習っていたが全部やめて、現在はトレイルランとスキー三昧の現在を送っている。愛犬と野山を駆けめぐるのが最高の幸せ。(写真=新名健太郎)
◆丹羽 薫さんのMtSNマイページへのリンクはこちら

 

【2016の戦績】
第2回 奥三河パワートレイル 70km 3位
第2回 Mt.Hiei INTERNATIONAL TRAIL RUN 50km  4位
UTMB 170km 8位
UTMF(短縮コース)44.8km 3位
志賀高原エクストリームトレイル 60km 優勝

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