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【連載】 山田琢也と奥宮俊祐の「TRANS ALPINE-RUN 2016」レースレポート 第8回:7thステージ

2016.11.30

2016年9月4日~10日に開催された「トランスアルパインラン 2016」に出場した、山田琢也選手・奥宮俊祐選手。MtSNでは、山田選手・奥宮選手の現地レポートをFacebookを通してお届けし、大きな反響を呼びました。
連載第8回は、ステージレース最終日の7日目。山田選手の足裏の状態が悪いままでのスタート。山田選手・奥宮選手のギリギリの駆け引きが描かれています。いろいろな葛藤があった7日間のレースは「人生で最も充実した日々だった」と、奥宮選手は言います。

「トランスアルパインラン」は、ドイツ・オーストリア・イタリアを通過する総距離247kmのトレイルレースで、特徴は、7日間のステージレースであること、そして2人1組で走らなければならないということです。山田選手・奥宮選手がトランスアルパインランに出場することになった経緯は、下記の記事をご覧ください。

「山田琢也選手と奥宮俊祐選手がぺアを組み、7日間のステージレース、総距離247kmの「TRANS ALPINE-RUN」に参戦!」

 

《山田琢也選手のレポート》
7th Stage: Sarnthein — Brixen
Distance: 36.4km / pos. vertical: 1934m / neg. vertical: 2348m
・4時間16分
・7日間の総合成績 7位(男子6位)
・7日間の合計タイム 29時間29分 総距離247.2km (累積標高差1万4862m)

 

運命のレース最終日
前半の15kmはひたすら高度を上げていった。中盤から後半の15kmは標高2000mを下回ることのない極上のトレイルが待っていた。コースを進み続けると、間近に迫るドロミテ渓谷と共に、このレースから自由の身になることができるブリクセンの街が眼下に見えてきた。最後は街まで一気に下った。テクニカルなトレイルをクリアし、私たちは247㎞の道のりと累積標高 1万5862mを乗り越えて、ヨーロッパアルプス横断をやり遂げた。7日間の総合記録は29時間29分。これは全体で7番目に速いタイムだった。フィニッシュ後は2人で抱き合って、「よかった、よかった、本当によかった!」と繰り返し言っていた気がする。

6thステージ終了後、足裏のケガはさらに大きく広がっていた。両足の皮膚が全体的に剥がれてしまい、歩くこともままならなかった。6thステージでの激痛を考えると、進み続けることを選ぶ覚悟をするだけで吐きそうだった。実際に走っている間もどんどん傷は広がり、最後の下りは、「もう終われる、終わらせてくれ!」という気持ちだった。6th、7thステージは足裏の激痛に耐えながら、トータルで9時間弱のレースとなった。全力疾走をし続けられたのは、おっくん(奥宮選手)や藤原トレーナーがいたからこそだ。自分の知らない力を引き出してくれたのも、肉体的にも精神的にも私を支えくれたのも、フィニッシュの地ブリクセンまで連れてきてもらえたのも、彼らのおかげだ。一人では絶対にやり遂げることはできなかった。本当にありがとう。

 

トランスアルパインランを振り返って
ステージレースでは、フィニッシュしてから翌朝のスタートまで、考える時間が与えられる。この間がステージレースの厳しさの一つだった。昼過ぎにレースが終わると、まずは食事を摂る。その後は初めて訪れる街でホテルを探しあて、シャワーを浴びて、洗濯をし、マッサージを受ける。あっという間に夜になり、また食事をして寝る。そして、翌日再びスタートがやってくる。重い体を引きずりながら忙しく準備をしている最中も、明日のレースの事を常に気にかけている。まさに走り漬けの生活だった。 今思うと、精神的にいちばんキツかったのは1stと5thの終了後だった。初日はあまりの疲労感に、これをあと6回もやるなんて信じられなかった。5th終了後から6thのスタートまでは、ケガの影響で棄権するかもしれないという不安と恐怖に押し潰されそうだった。

 「負けてもいいんじゃないか。ここまでよくがんばった。十分だよ」
できるだけ考えないようにしていたこれらの言葉は、後半戦で頭の中を逆にぐるぐると回っていた。しかし、やめることを選べないのは、“ペアレース”というチーム戦だからだ。 「チームとはすべてを理解し、納得したうえの信頼関係だ」と、私の恩師は言う。その関係を築き、ベストパフォーマンスを発揮するためには、自分の弱さを認めなければならないし、それを仲間に知ってもらわなければならなかった。刻々とレースが進むなか、自分自身も知らない弱さを知ることになる。それをさらけ出すことは怖いことだった。今まで耐え、積み上げてきたものが崩れ落ちて動けなくなってしまうような、そんな気がしていた。でも、そんなことはない。弱さは伝えたほうがいいし、不安は話し合うことで軽くなる。意地や我慢よりも、仲間と協力することで勢いが増す。これらを引き出せたのは、パートナーがおっくんだったからこそ。こうして生み出される力は、私が今までのレースでは感じたことのないような、温かくて大きなものだった。

 

いつかまた・・
最後に、私には目標ができた。またこの地を訪れたい。なんと、ラスト2戦は、地面の岩とおっくんの青い短パンしか覚えていないからだ・・・。次に訪れる時はゆっくりと歩き、美しい景色に出会ったらいつまでも立ち止まっていたい。街に着いたら、たらふくビールを飲んでやる! 多くの皆様のおかげでフィニッシュできたことを心から感謝しています。本当にありがとうございました!!

 


足裏の激痛に耐えながら、なんとか奥宮選手のリードについて走る山田選手。今日ですべてが終わる

 


フィニッシュ後、ビールを飲んでこの笑顔!!

 

次のページでは奥宮選手のコメントがつづく

 

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