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【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.7 Ultra Trail Australiaレースレポート後編

2018年05月28日(月)

ウルトラトレイルを得意とする大瀬和文さんの連載第7弾。2018年5月19日〜20日にオーストラリアで開催された「Ultra-Trail Australia」(UTA)の100㎞に出場した大瀬さんのレースレポートの後編をお届けします。いよいよレーススタートです。

 


文=大瀬和文

2018年5月19日の午前6時20分、UTA100のスタートが切られた。UTAでは、選手の申告タイムにより、スタートがいくつかのブロックに分けられるウェーブスタート方式が採用されている。

私のスタートは午前6時20分だったので、朝は4時半頃に起きて準備して、朝食を食べに食堂へ行ったが、朝食のサービスは5時半かららしく、果物とシリアルしかなかった。オートミールもあったので、それとバナナとリンゴを食べて朝食を終了。いつも朝から結構な量を食べるので物足りなさを感じたが、スピードレースになるから食べ過ぎない程度でちょうどいいかなと思った。

スタート20分前にスタートラインへ並んだ。すでに多くの選手が集まっていて、私を見て声をかけてくれる選手が何人かいた。どうやら3週間前に私がUTMF2018を走っているのを知っていて、驚いている選手が目立った。スタート前にGPSセンサーを受け取り、スタートラインへ並んだ。招待選手やBIB番号の若い選手は、レース中に位置情報をより正確に把握するため、GPSセンサーを持たされるのだ。

スタート前の会場は熱気いっぱいで、気温は5℃前後だったが、寒さを感じることはなかった。スタート時はまだ真っ暗で、ヘッドライトが必要かなと頭にスタンバイしていたが、スタートしたらすぐに明るくなり、トレイルに入る際にはもう要らないぐらいの明るさになっていた。走り始めるとすぐに体温も上がり、Tシャツ1枚で十分な気温になった。

 


オーストラリアの季節は秋だが、日中は気温が上がり暑くなった(Photo:KOJI KOIZUMI)

 

コースを前半と後半に分けると、前半はオーストラリアの草原を走る感じで、後半は細かいアップダウンが続くコースになっている。

最初はとても走りやすいコースなので、ペースを抑え気味で走りたいのだが、トップ集団のペースが少し早めだった。私は「予想していた以上に体が重いな」と、走りながら感じていた。

「無理は禁物!」と思いながら、先頭との差が広がり過ぎないギリギリのペースを維持していった。このペース配分は、これまでのレース経験で得た自分なりの感覚だと思っている。UTMF2018でもそうだったが、以前のように前半にがむしゃらに突っ込んで、後半に失速して終わるというレース展開ではなく、一見するとオーバーペースに見えていても、自分としては抑え気味のペースで走れるようになった。UTA100の前半は思った以上に足が重くなることはなく、そこまで疲労を感じることなく走ることができた。

海外のロングレースで思うことは、サポートがいるといないのでは時間のロスが全く違うということだ。
UTA100は100㎞のレースなので、サポートがいる選手はF1のピットインのように、エイドでの滞在時間が短い。私がドロップバッグを探して物を取り出す頃には、サポートのいる選手はすでにエイドから飛び出していた。

エイドのボランティアの方がそれを見かねて「早く準備してエイドを出ないと!」とせかしてくるのが有り難いようでつらかった(笑)。
「疲れているからちょうど休憩ができていいんだよ」などとジョークを言いながら、エイドではしっかり補給をして、出来るだけ早くエイドを飛び出して、また前を行く選手に追いつき追い越しのやり取りが続くというレース展開をしていた。

レースの後半になると、選手間の差が空いてきて、競り合いはなくなってくる。しかし、UTAでは、途中から50㎞コースに出場している選手とすれ違うので、50㎞の選手から励まされながら走っていた。これが精神的に支えになって嬉しいのだが、急坂の苦しい時に応援されると返答するのがつらかった(笑)。無言の笑顔を返すと、相手の選手も苦しいのに笑顔で頷いてくれた。「UTAは大会関係者やボランティアスタッフだけでなく、参加している選手も温かいな」と、走りながら感じていた。

このレースの本当の山場は85㎞地点からだ。ここから登りが延々と続くのが本当にキツい。このキツさはぜひ来年出場して味わってもらいたいと思う!!

そして、登りの苦しみを乗り越えて、フィニッシュ地点のシーニックワールドに帰ってくると、MCが僕の名前を呼んでくれた。UTAでは、タイムの遅い速いに関係なく、ほぼ全員の選手のタイムと名前を、フィニッシュする時に読み上げてくれる。これはどの選手にとってもうれしいことだと思う。

記録は9時間58分10秒で、総合6位という結果だった。

 


温かい歓声を受け、6位でフィニッシュ(Photo:KOJI KOIZUMI)

 

フィニッシュしたら、タイムによって完走バックル、メダル、バスタオルなどがもらえる。完走バックルは20時間以内にフィニッシュした選手だけがもらえることになっている。そして、フィニッシュ後の必携品チェックにパスしたら、正式なフィニッシュになる。

 


連戦にも関わらず納得のいくレース展開ができたことは、自信になった(Photo:KOJI KOIZUMI)

 

レース後は、シャワーが会場にあるので、ホテルが多少遠くても、会場でシャワーを浴びてスッキリすることができるし、会場から街へ行くバスも随時出ているので、移動にも不自由しない。会場内の”リカバリーゾーン”と呼ばれる所で食事が出るので、会場でゆっくりと過ごせるのもうれしいおもてなしだ。

UTAは参加者に対していろいろと気を配ってくれるので、出場する者としては快適で、人気レースであることが納得できる。5月は日本国内で魅力的なレースが多く開催される時期ではあるが、来年はUTAに出場してみてはいかがだろうか。国内外でいろいろなレースに出場している私からしても、とてもオススメのレースです。

 


UTAの表彰式は大盛り上がり

 


レースディレクターのTom Landon Smithさんと

 

【連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!" Vol.6 Ultra Trail Australiaレースレポート前編

◆◆連載】国内外のトレイルを駆けめぐる、大瀬和文の “GOOD LUCK!バックナンバー(Vol.1~5)

 

 

 

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